(和)


弾き終わって大野さんの隣に座った。



・・・え・・・?


まさか・・・寝てる? 





ふふふ。


可愛い人だなぁ・・・





舟を漕ぐように揺れてるし。


α波、感じているんだね。


良い演奏はα波出すって言うもんな。


耳はその良い演奏に集中した。





だけど次の瞬間。


目の前をふわふわの髪がもぞもぞ動いて


僕の胸に顔を埋める大野さんに


全神経を持って行かれた・・・




・・・なに・・・この感覚・・・




しばらく金縛りにあったかのように


動けないでいた。




勝手に胸がドキドキして


汗がつーっと額から首に流れて落ちた。




・・・どうしよう・・・


・・・困ったな・・・




可愛くて・・・動きたくない・・・




このままずっとこうしていたい、なんて


大野さんは疲れて眠っているだけなのに


勝手にドキドキして・・・





いやはや、参った・・・




演奏会は終わってしまった。


大使夫人が車を用意してくださって




和「・・・大野さん・・・歩けます?」


智「・・・ん・・・」



大野さんを支えながら車まで歩いた。



パーティーのお料理を折に詰めてくれて


大使夫人「またいらしてね」


大使の娘「次はレッスン付けてくださいね」


見送ってくださる親子に挨拶をした。




ホテルに着くと


大野さんはシャキンとして


テクテク歩き


智「今日はありがとうございました」


なんてお別れのご挨拶をするから





和「あの・・・これ。ご一緒に・・・」


さっきの折詰を小さく上げて部屋に誘った。




・・・大胆だったかな・・・





だけどもう少し一緒にいたかったんだ・・