(智)
年が明けて東京の下宿に一度戻った。
俺が休学届を出したことを知った父さんが
上京してきて
大家さんとも話をした。
和の両親はウィーンへ戻っていた。
大学での俺の評価は
和のお母さんのレッスンだけが
空欄で・・・再履修の必要があった。
だけど教授理由ということで
俺の落ち度でない旨注釈に書かれていた。
他の授業は全てAが付いていた。
だけどそんなことはどうでも良かった。
大学の評価なんて・・・
父さんからは海外でも引きおろせる
通帳とカードを渡された。
ほかに金色の家族カードも。
智父「馬鹿なことを考えるな」
・・・
・・・・・
何が馬鹿なことなんだろう?
その基準は父さんと俺で違うよね?
だけど何も言わなかった。
・・・
・・・・・
パスポートと楽器を持って・・・
チェロもどうしても持って行きたかった。
・・・だけど。
楽器は運ぶのに驚くほどのお金がかかる。
ピアノのように現地調達するか・・・
チェロを諦めて
安いバイオリンだけにして
和とふたり・・・
シャルル・ド・ゴールに降りたのは
まだ寒い春先のことだった・・・
