(智)


その演奏が終わるや


俺は無言で和の腕を掴んだ。


折れるように細いその腕を・・・


演奏家にとっては大切なその腕を


俺は力任せに掴むと


ロビーを闊歩して立ち去ろうとした。


先生「大野!彼と知り合いなのか?」


ピアノの先生に呼び止められた。


言い表せない怒りと嫉妬で


俺の唇はわなわなと震えていた。


大きく深呼吸をして


智「はい」


そう一言返事をするのが精一杯だった。


先生「はじめまして。


いやー。素晴らしかった!


よかったら、これからもうちの生徒と


コラボしてくれませんか?」


智「申し訳ございません」


一言謝って、やはり連れ帰ろうとした。


和「僕・・・その・・・


迷惑になるから・・・」


智「黙っていなくなって


俺が心配しなかったと思う?」


和「・・・あ・・・」


智「帰るよ」


ホテルの駐車場に停めた車に乗せ


暗い夜道を静かに帰った。


家の前では母さんがキョロキョロしていた。


智母「嗚呼!無事でよかった」


和「すみません。僕・・・」


母さんを構う余裕なんてなかった。


俺は和を自分の部屋に連れ込むと


ベッドに押し倒した。


そして真っ白のブラウスを


いつかのように


両手で引き裂いた。


和「・・・泣かないで・・・」



*ララァさんのお写真です*



お前が刺した毒の棘を抜けるのは


お前しかいない・・・


俺をえぐった分だけ


お前をえぐってやる・・・


俺は凶器のように聳え立つそれを


和の口に突き刺した。


綺麗な顔が苦しみに歪むのを


喉の奥まで差し込まれて


涙目になるのを


俺は涙に濡れながらじっと見つめていた。


和「・・・っふ・・・」


愛と苦しみは裏表。


愛と憎しみも裏表。


俺だけの和だ・・・


お前は俺だけの楽器なんだ・・・