(和)
智「有馬温泉に行かないか?」
和「有馬温泉?」
智「うん。隣の県までドライブしよう」
ご両親にもいってらっしゃいと
笑顔で送り出された。
・・・温泉かぁ・・・
公衆浴場は苦手だった。
小さな頃から色が白くて
肌も柔らかかった僕は
そういう対象で見られることが多かった。
智とふたりきりなら・・・
智「部屋にプライベートな露天風呂が付いてるから、安心しろ」
それならば。
和「だけど高いでしょう?」
智「親父の会社の保養所なの。
大丈夫だよ。二泊取って貰った」
僕も人のことを言えないけれど
智も坊ちゃんなんだな・・・
京都から一人息子を東京の音大に行かせて
楽器の演奏可能な下宿をさせて
そして温泉まで行かせてくれる・・・
智「あまりクリスマスって感じがしないなぁ」
あなたといられるだけでクリスマスだよ。
そう言おうとして、やめた。
・・・この関係が終わるとき・・・
僕は急にそんなことを考えて
とても恐ろしくなった。
*ララァさんのお写真です*
心の中で蒼い花弁が揺れる・・・
智のいない未来は考えられないのに
智と歩む未来も想像できなくて
僕はこっそり涙を流した・・・
この瞬間が永遠になればいいのに・・・
そしてピアノもバイオリンも持たない僕は
自分を表す術を持たないでいた・・・
