
片岡仁左衛門 一世一代の河内屋与平。
かつてオペラとしては愚作と言われたビゼーの「カルメン」が、マリア・カラスという一人のスキャンダラスな美貌のソプラノ歌手の天才的歌声よって、オペラの代名詞に近い存在まで押し上げられた。
作品は名優によって彩りを加えられ、時に異彩を放ちつつ時代の中で変遷し、語り継がれる。
まさしく、近松門左衛門が書いた時には全く評判の立たなかった女殺油地獄は明治に入って復活されて好評を博し、昭和三十九年、二十歳の片岡孝夫、現、十五代目の片岡仁左衛門が演じて確固たる地位を確立した演目なのだ。
与平、という役には、若さゆえの粗相、危うさ、無理、無頓着、利己、愚行の入り混じりがあるので、60を超えた仁左衛門はこの役を演ずるのはやめにしていたという。しかし、歌舞伎座さよなら公演ということで、相手役のお吉に息子の孝太郎をしたがえて、仁左衛門、生涯最後、一世一代の河内屋与平となった。
あんまりおばあちゃんになってからだとカルメンも演じられない、ということか?
しかしこれは歌舞伎。そんなことはない!息子のはずの孝太郎は、しっかり与平より年上の御新造さんで全く違和感無いし、仁左衛門の所作、せりふに、若者の危うさ、情けなさもほとばしっている。
僕は、見たぞ。
仁左衛門の最後の与平を、見たぞ。
ところで、余談ですが私、歌舞伎座でのお弁当は演目にちなんだものにします。前回、髪結新三の時には鰹を探したものですが、今回は、女殺油地獄ということで、天丼弁当にいたしました。
「オヤジ殺しメタボの地獄」
全く余談です。
余談ついでに、今、この話のパロディを考えています。
酪農業界の問題点などを網羅した
「女殺牛乳地獄」
そのうちHPに書き下ろします。
本当に余談でした。