
松王仁左衛門の泣き笑いにただただ涙
当代随一 仁左衛門の松王丸
誰がやっても泣いてしまうのかもしれないけれど,特に仁左衛門さんの寺子屋松王丸は素晴らしい。
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)の四段目。
菅原道真流刑の後,道真の子,菅秀才を預かる愛弟子の武部源蔵は庄屋に呼び出され,道真を流刑にした張本人,藤原時平の家臣である春藤玄蕃と松王丸に菅秀才の首を出せといわれる。
道真の大恩に報いたい源蔵は,その日,たまたま寺入り(入門)した品のある子供の首打って偽首とする。
ばれやしないかとハラハラするて武部夫婦の前,首実検に来た松王丸は,間違いなく菅秀才の首だと言う。
実はこの男の子こそ松王丸の子供,小太郎。時平の家臣となりながらも,道真に世話になった父,弟のためにもその恩に報いようと道真の妻園生の前を保護し,源蔵が息子の首を打つことを予想して寺入りさせたのであった。
身代わりで首を打たれると知った息子,小太郎は,その最期に取り乱すことなく首をさし伸ばしたと聞き,九歳で立派な死を遂げた息子,そして息子を失った悲しみ,恩に報いることなく腹を切った弟,桜丸への不憫な思いに,慟哭の泣き笑いをするのだ。
この亡骸は菅秀才として菩堤を弔うと白装束になった松王丸と妻,千代は野辺の送りのために鳥部山へ向かう。
菅秀才を演じるは片岡孝太郎の息子千之助。この舞台は仁左衛門,孝太郎,千之助の親子三代が顔を連ねた舞台になりました。
小太郎を演じるのは中村松江の息子玉太郎。松江は涎くり(寺小屋の子供の中に一人入った大人でイタズラ坊主の役)で舞台を盛り上げていましたね。これで東蔵さんが出てたらここでも親子三代でしたのに残念。
ロビーでは仁左衛門丈のお嬢さんで元宝塚の汐風幸さんも子守をしておりました。
歌舞伎は家族総出,ですねぇ