「りこにホワイトデーのお返し
してなくてごめん」と
クマオが言った。
だから言った。
私にはそんなのいいんだと。
今日も結局洋服のお会計してくれたん
だから。
いつもいつも必要なものは決まって
お会計してくれるんだからと。
クマオはうんうんと納得の顔を
していた。
きっとそう言うだろうと
クマオも思ってる。
そう、ほんとにそれでいい。
だけど
次に私の口から出た言葉は
自分としても意外だった。
「でもね、
クッキー1個でもさ、
私のいないところで
私を思って選んで買ってくれたっていう
その気持ちが嬉しかったりする」
その言葉は
クマオにとっても意外だったのだろう。
「・・・ごめん」と
どこかふてくされたように謝った。
その言い方と声を聞いて
何かごめんというそんな気持ちになった。
だから
もう来年はバレンタインはしない。
そう決めた。
バレンタインにプレゼントを贈るから
ホワイトデーを期待してしまうことに
なるんだ。
自分にはそんな意識がなくても
例えばふとラジオから
「ホワイトデーですね、
みなさん、お返ししましたか?」
なんて流れてくると、
そんな気になってしまったりする。
だからこんな言葉がスルッと口を
ついて出たんだな。
記念日に縛られる。
そんな思考から自由になろうと
この間も思ったばかりなのに。
気づけばまた戻っている私だった。
昨日こちらをゲット。
一見普通のスポーティなブルゾンだが
ディティールが地味に可愛い。
