冬の満月は真上に見える。
深夜11時半ごろ、
クマオが帰るタイミングで
クマオといっしょに外に出て
空を見上げた。
秋ごろのそれと違って
昨夜の月は天頂付近で煌々と輝いていて
それはそれは美しかった。
もっと見ていたかったけど
「湯冷めするからあかんあかん」と
クマオがこざかしく言うので
室内に戻ってクマオに手を振った。
クマオを見送った後、
寝室の窓を大きく開けて
ちょっと身を乗り出すようにして
もう一度真上の月を眺めた。
しばらくすると
クマオが電話をかけてきた。
帰ってから電話をかけてくることは
珍しい。
寒い深夜に窓全開で身を乗り出している
私の姿をどこかで見て
またこざかしく言い出すのかと思って、
「何?」と出ると、
「ちゃんと温かくしとるか?」と
聞いてくる。
「うん、お部屋もお布団も
ぬくぬくにしてる」
「腹巻は?」
「してない」
「なんでやねん」
「する習慣がないから」
「アホやな」
「アホでええわ」
と、
またどうでもいいやり取りを
する。
いや、どうでもいいけど
本当はわかっている。
きっとこんな会話をする人は
これから先クマオ以外には現れないだろう
ことを。
仮に他の誰かと恋をしたとして
クマオだってこんなことを言わないだろう。
それはお互い仕様の会話。
これまでの二人の軌跡ゆえの会話。
そう思うと愛おしくなった。
まだまだ寒くてこういうのに
目がいかないけれど
可愛いものは早めにゲットしておかないと
なくなってしまうんだな。
迷う。
