昨日はピンの命日だった。
お寺には行けない代わりに
スマホの写真フォルダーから
ピンの写真をいくつかピックアップし、
コンビニのアプリをインストールして
写真にプリントした。
それを写真立てに入れ、
首輪も出し、
お線香を立てた。
クマオに早く見せたいと思ったが
はてさてクマオは覚えているだろうか。
うっかり忘れているのではないか。
日中、
「今日はピンのお命日です」と
ラインを送ろうかとも思ったが
前日の仕事上のトラブルのことを
思って控えていた。
そして夜になってクマオが帰ってきた。
ドアを開けるなり、
「ピ~ン!!!」と言って
入ってくる。
やっぱり覚えていてくれたんだ。
私は嬉しくなって言った。
「見て!
写真プリントしてん。
ほら! 」
一目見て、
クマオが「あ~!」
大きな声を上げたので
感動してくれたんだと思ったのだが、
鞄の中から、
「実はボクもしたんや。」と
写真の束を差し出した。
「え~!!
クマオさんも?」
思わず笑った。
「りこもしとったんかいと
思たわ。」と笑う。
「セブイレの
アプリインストールしたん?」
「うん」
「いつ?」
「今日。」
「私も今日。」
それからお互い、
わ~わ~言いながら
この幸せな全くのシンクロを
喜び笑い合った。
「ピン!
お前、そこおるんやろ?」
クマオが空気に向かって言う。
「うん、何かそこにおりそう。」
「おるわ、絶対。」
「おるよな。」
そんなことを言いながら
クマオがお線香を上げて
ピンの写真の前で手を合わす。
クマオの頬に涙が伝わっていた。
この涙がピンのためなら
この涙に限っては
大いに価値があるなと思った。


