父が生前懇意にしていた画商さんが

いる。

 

美術雑誌などで小さくその名前を見る

ことがある方だ。

 

 

その方が何点か絵を持ってこられると、

大概父は私に連絡をしてきて、 

私にも観るようにすすめた。

 

 

「これ、好きやわ」 

「これは、ええとは思わへん」

 

何もわからない私が言えることと

言えば、好きか嫌いかだけである。

 

父も小難しいことは何一つ言わず、

 

「そうか、

 あんたはそない思うか」と言うのが

常だった。

 

 

 

 

ある時、

迫力のある抽象画を観せてもらった。

 

「あ、ええやん」

見るなりそう言った。

あまりにも軽々しくそう言ったので、

父が笑った。

  

 

その様子を見て、

その方も微笑みながら言われた。

 

「それでいいんです。

 

 よく、『絵はわからない』と言う方が

 いらっしゃいますが、

 

 そんな方でもすごく素敵な柄の

 ネクタイをされています。 

 

 私はその方に問うんです。

 その柄、理解されていますか?

 そのデザイナーの意図を理解して

 そのネクタイを締めておられるの

 ですか?と・・・・       

 

 わからなくても、

 楽しめるじゃないですか。

 

 要はそこです」。

 

本当はもっと専門的な知識を教えて

ほしかったのだが、

そう言われてしまったので、

それ以上聞かなかった。

 

 

そしてこの時のことを、

この方のこの言葉を、

今なおこんなふうに書ける程、

私は思い出すことできる。

 

 

このことが、

良くも悪くも今の私の芸術への   

向き合い方の原点になったのかも

しれないと思う。

 

 

わからなくてもいい。

ただ心地よいかどうか。

 

好きだと思えたら、儲けもの。

 

そうだと思えなかったらそれもいい。

 

だけど、少し余裕があったら、

その背景を調べてみる。

その画家の生い立ちやその時代背景。

そこに触れた時、心に迫るものが

あったりして、

それほど好きではないと思った

作品も、案外好きになれたりする。

 

結局は自分の肥やし。

そう思うようになってから、

美術館が好きになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴッホの「アルルの寝室」。

私の好きな絵のうちの一枚。

大塚国際美術館でパチリ。

 

 

 

 

これは我が家のリビングの絵。

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元々玄関に飾っていたが、

クマオがずっと見ていたいと

言ったので、リビングに

掛け替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初出勤の今日もこれを履いた。