ずっと以前のこと。
まだ、クマオに女ができる前、
もっとずっとずっと前のことだ。
毎日会っていたわけでは
なかった。
それゆえに週末のデートは
格別だった。
毎回、前夜は洋服選びの
ファッションショーの時間。
靴もバッグも念入りにコーディネートし、
当日は、朝からお風呂に入り、身体も髪も
最高の状態に整える。
こんな年上だけれど、
年上だからこそ、
自分自身を一番可愛くラッピングして、
クマオへのプレゼントとして差し出す。
そんな気持ちでいた。
どこまでも女だった。
よく京都に行った。
泊まりで行くときは、夜の京都を
満喫した。
祇園あたりのお店で食事をする。
もちろん日帰りでも行った。
そんな時は、いかにも京都らしい
風情の店でランチをし、
お茶を飲み、街をブラブラする。
今でも使っている扇子や、
和紙で作られた小箱、
わざわざ額にいれて飾っている
てぬぐいなどは、その頃京都に
出かけるたびにクマオに買って
もらったものだ。
夕方に京都を出て、
夕飯は地元のお店を予約し、
ゆっくりお酒を呑みながら、
食事。
その後、クマオの部屋で
たっぷり愛し合って帰宅すると、
たいてい日付が変わるぐらいの
時間になっていた。
何故だろう。
今日、その頃のことを生々しく
思い出した。
翌朝、クマオに愛された余韻が
残る身体を感じ、疑いようのない
愛情を感じた瞬間。
これが、恋人同士なのだ。
恋人同士とは、こういうことを
言うんだ。
改めて思い返すと、
不本意ながら、クマオと私の関係性の
いびつさが明らかになった気がした。
クマオはそれをあの女に
求めたのだろう。
一から構築するワクワク感と
抑えても抑えても心が躍り出すほどの
楽しさ。
心がかきむしられる。
が、その一方で思う。
マンネリの中では、
決して見いだせないそれらは、
何て素晴らしいんだろうと。
それでも、ずっと思ってきた。
新しいステージに入ったんだと。
それも事実だろう。
わかっているが、
あの頃のあの輝きが妙に
眩しく蘇る。
謳歌したあの頃。
今では夢か幻。
ブロガーさんに教えてもらったナスそうめん。
クマオが絶賛。
鶏そぼろ。レタスで巻き巻きして。
暑い時だが、肉じゃが。


