実は3月に初孫が誕生している。
大阪府内に住んでいる長男の子供だ。
コロナ渦の中、会えないまま時間が経ち、
写真や動画は送られてくるものの、
初めて会ったのは、今月に入ってからの
ことだ。
「りこちゃん、いっぱい写真撮ると
思うから、可愛い洋服着ていきな。
必ずあとで見返すことに
なるんやから」
前夜、そんなことを言うクマオ。
確かにその通りだ。
さすがクマオさん、
ナイスアドバイス!
とは言え、ベビーを抱くと、
ミルクの吐きこぼしなんかも
あるかもしれない。
私はそれなりに考えて、結局あまり気を
使わないですむデニム素材の半袖ワンピース
を選んだ。
「一目会ったらもうその瞬間から
メロメロになるよ」
周囲のそんな言葉に「そんなものなのか」
とそんな未知の自分に会えるのをちょっと
楽しみにしていた。
そして当日。
クマオの車でクマオが送ってくれる。
「オレが入るとリスクが増える」と
その日は、別行動になったが、
そんなことも気にならないほどに
私はワクワクしていた。
いよいよ「ばあば」デビュー。
ベビーは、写真で見た通りの
可愛い女の子。
少し前、私が送った可愛いワンピースを
着せてもらっていた。
だが、なぜだろう。
それ以上に込みあげるものが
何もない。
何も沸き起こる感情がなかった。
私は、おかしいのだろうか。
自分で自分にがっかりしてしまった。
後日、知り合いの年配の女性に
このことを話した。
その人は言った。
「孫にのめり込むのは
他に楽しみがないからよ。
あなたは、きっと他に
夢中になれるものがあるんやね」
ハッとした。
そうか、そうなんだ。
私は、可愛い初孫ベビーより、
この場に及んでもまだ、
クマオに夢中なんだ。
喜ぶべきなのか、
悲しむべきなのか。
どこまでも懲りない自分に
直面して面食らった日。
土曜日のお昼は、すだちそうめん。
すだちの香りが食欲をそそる。
優しい味つけで出汁も全部完食。
夕食は、オールテイクアウト。
クマオがあちこち調達に。
私は、ただお皿を並べて待つ。

