何日か前、クマオに一応だが、

尋ねてみた。

 

「お誕生日の18日あけといてって

 今年も言われてる?」

 

(昨年は18日は日曜日だった。

日曜日は、本来女は仕事だが、

わざわざその日は仕事を休み、

クマオの誕生日を祝うために

クルーズ船でのフレンチを予約

していた)

 

 

てっきり「んなわけないやろ!」と

返ってくるものだと思ったが、

「いいや」と一言、シンプルに

答えたクマオ。

 

え?

なんで?

ちょっと引っかかりそうになる。

 

昨日19日。

女のサロンのスケジュールを

チェックすると、水曜日で休業日と

なっていた。

 

もしかして・・・。

女はクマオに連絡をしたのではないか。

二人は会ったのではないか。

そんな気がしてきた。

 

 

いや、ただの私の思い過ごしだ。

そう片付けてしまいたい。

 

が、そんな日に限って、これまた

クマオの帰りが少し遅かったりする。

 

またもやざわつきそうになる心。

 

会いたきゃ会え。

浮気したきゃしろ。

で、また私のことを酷く傷つければいい。

 

と、今度は、開き直ったり、自虐的に

なったり。

 

 

時計を見ると、いつもより小一時間は遅い。

まだ、クマオからの電話はない。

 

「クマオさん・・・」

ふと声に出てしまう。

  

 

しばらくすると、やっとスマホがジーと

鳴りだした。

 

「クマオさ~ん!」

私は、元気いっぱい出た。

 

なぜだかわからないが、

昨日に限ってクマオからの電話が

とてつもなく嬉しかった。

 

毎朝毎晩、必ずかかってくる電話。

日常中の日常。

それの何がこんなにも嬉しいのか。

 

むしろ、以前ならこんな時はちょっと

拗ねモードになっていたはずだ。

 

 

自分でも自分のテンションが

わからなくなったが、とにかく

嬉しくてしかたがない。

 

 

「今日は、豚肉の黒酢煮作った!」

 

「ぇええええ~!!」

クマオもつられたのか、大袈裟に

喜んでみせてくれる。

 

 

女と会っていたかもしれない。

そんなざわつきのかけらは

一瞬でどこかに消えた。

 

 

よかった。

とりあえず今日は克服できた。

それを、ただそのことを喜ぼう。

 

またつまずく日もきっとある。

その時、今日のこの心を

思い出そう。

 

守らなきゃならないのは、

自分の心なのだから。

 

 

 





冷やしトマト。バルサミコ酢とオリーブオイル同量に、お砂糖少しと、塩少し。

トマトの上には、スイートピクルスのみじん切りと青じそ。




豚肉の黒酢煮。
夏は、酸っぱいものが美味しい。