「落ち着いたら○○しましょう」
「また落ち着いた時に」
こんな言葉が挨拶代わりに使われる日々。
昨夜、クマオが言う。
「りこちゃん、落ち着いたら祇園に美味しいもの
食べに行こな」。
え?
そうなんだ。
この状況が落ち着いた先も、私とのことを考えてくれてるんだ。
改めて私は嬉しくなる。
「夏頃には行けるかな?」
そう言う私に、「どうかなぁ。ワクチンができるまでは、まだまだ安心できへん」と、
クマオはこういうところは案外慎重派だ。
「昨日は県内の感染者0だったと新聞に出てたね。
落ち着くまでもう少しの我慢。
早くりこさんの裸みたいな」。
朝一「別の人」から届いたこんなラインに、気持ちが半端なく萎えていた。
なんなん、この人。
こんな人には思い切り嫌味を言ってやりたくなる。
「他は別として、この県はまだまだ先は見えないですよね」。
それにしても、クマオもこんなことを、他の誰かに対して想っているのだろうか。
「落ち着いたら・・・」とそんなラインを誰かに送っているのだろうか。
誰かの私への言葉は、そのまま誰かへのクマオの言葉かもしれない。
いったんは消えていた黒い感情がまた心の中を這いまわる。
昨夜は会話が危険ゾーンに入りかけた。
「彼女のお店、お客さん減ってるみたい」
クマオは警戒した表情になった。
「チェックしたん?」
「・・・クマオさん、少し落ち着いてきたら、
また、施術受けに行ったりする?」
「行かへんわ!
ちょっとちょっとりこちゃん!
またぁ?その話?」
そうだった。
また喧嘩になってしまう。
クマオにそう釘をさされて、私は話をやめた。
全く私の心はどうしてこうも弱いのか。
「落ち着いたら」。
希望を持てる言葉なのに、今の自分には不安材料の引き金にもなる。
大丈夫。
その時はその時。
心を強く。
今日も笑っていよう。
また、決意しなおす。