緊急事態宣言が発令された。
クマオと私の住んでいる県にも。
昨夜、クマオと二人で、安倍総理の会見を見る。
「りこちゃん、お互い気をつけような」
「うん」。
私はクマオの横顔を見ながらしみじみ思う。
クマオが女と別れていてくれて本当によかった。
世の中はとても大変な状況になっているが、
とりあえず毎日、クマオは私の家に帰ってきてくれる。
逆に言うなら、この状況のおかげだ。
「会いたい」と誘ってくるサロンの女と夜に出かけることはもちろん、
ケアと称してサロンに出向いてマッサージさえ受けることもないだろう。
もちろん私だってしかりだ。
2週間程前、「別の人」にはっきり言った。
その人はバカなのかと思えるほど危機感がなかった。
その時期でさえ、奥様は出張で関東地方に行っている。
「オレは別に気にしない。
え?オレだけかな。
こんなふうに呑気に思ってるのって」。
「好きではない」が、一気に「嫌い」に変わった。
「奥さん、ヤバくないですか」。
私が一言だけそう言うと、やっとその人は口をつぐんだ。
それきり連絡はない。
昨夜。
私は平日にもかかわらず、ごちそうを作った。
帰ってきたクマオは「うわぁ!」と喜ぶ。
「こんな時だからこそね」。
クマオの嬉しそうな顔が私の幸せだと思った。