出かけない週末にも慣れてきた.
クマオは資格試験の勉強に集中しているようだ。
(と思っている)。
もちろん疑念は尽きない。
土曜日はサロンの女も仕事は休んでいる。
クマオからの連絡もない。
考え出すと、ざわつく心。
それでも、こちらとて、いろいろすることはある。
この際だからと、あれこれ掃除したり片付けたり。
以前ほど、クマオのことに囚われなくなっている。
そう言えば今晩の夕食。
特に約束はしてないが、クマオは来るのだろうか。
まあとりあえず何か作ろう。
ちょっと買い出しに行こう。
玄関先に出ると自転車がなくなっている。
え?
盗難にあったか。
うっかりカーポートを開けっ放しにしていた。
クマオから譲り受けた自転車だ。
フランス製でアンティークっぽいデザインが気にいっていた。
ミニサイズで身長の低い私にはちょうどよかったのに。
失望とクマオに対する申し訳なささでかなり力が抜ける。
クマオに電話するも出ない。
やっぱり出かけてるのか。
仕方なくラインする。
「クマオさん、私、自転車盗まれたみたい」。
意外にもすぐにクマオから返信。
「盗んだのオレ」。
え?
いつの間に?
「今、自転車やさん。
点検してもらって、タイヤ交換してる」。
何で?
「何かガタガタしてたからな。
ずっと気になってた」。
でも、何で言ってくれなかった?
「りこをびっくりさせたかった」。
「クマオさん」。
あぁまたやられた。
いつもクマオのサプライズにやられる。
一気に疑念は消え失せる。
しばらくすると、ピカピカになった自転車に乗って
クマオがやって来た。
タイヤだけでなく、あちこちの部品が変わっている。
グリップも赤になっている。
「うわぁ!見違えてる!」
「りこちゃん、この自転車、りこちゃんに似合ってるから、
大切に乗り続けてほしいと思って」。
うん。
ありがとう!
こんなクマオがやっぱり好きだ。