ランチタイムに私の作ったサンドイッチを食べながら
電話してくるクマオ。
「今日は、りこちゃんちにごはん食べに行かへんねんな」。
「クマオさんがそう言ったから、
今日は夜ごはんの用意はしてないよ」。
「何かおもんないなぁ。
焼肉行こか」。
「焼肉、いいね~!」。
ヤッタ~!ラッキー!
イヤ、でも、何で?
女と会う予定ではなかったのかな。
それとも・・・・。
もしかして・・・。
こんなふうにクマオの言う一つ一つのことに、一々裏を取ろうとする私。
自分でもこんな自分に疲れるが、これぐらいしないと手放しでは喜べないのだ。
いつもの焼肉店に着く。
この店には、クマオと私は、最低でも月2回は通っている。
この10年間、ずっとそうだ。
ふと、クマオに尋ねた。
「クマオさん、このお店、彼女と来たことある?」
「・・・・あるよ」。
え?
クマオさん、前言ってたよね。
私を連れて行く店と彼女を連れて行く店は分けてるって。
「・・・どこも行くところがなかって、その時・・」
「そうなんだ・・・」。
一気にテンションが下がってしまった。
この瞬間から、それまでの空気がガラリと変わる。
「ごめん、りこちゃん・・・」
「じゃあ、○○(別の店)は?」。
私は被せ気味に言った。
「・・・ある・・・」
「○○にも!え?ほんとに?」。
クマオはいたたまれない顔になった。
「クマオさん、何でかな・・・私・・・、何でかな・・・。
せっかく正直に話してくれたのに・・・。
何でこんなことぐらいで、こんなにイヤだと思ってしまうのかな。
何かものすごくイヤな気持ちになってる・・・・・・」
「わかるよ、りこちゃん、ごめん・・・」。
「最近も彼女とここに来たでしょ・・・」
記念日デートの前の日のことだ。
「・・・・」
黙り込むクマオ。
お店の人だってきっと思ってるよ。
やっぱりあんなババァの彼女だから、若い女と浮気するんだよなって。
私、そんなことも知らずに、いつも彼女面してたよ。
浮気されてんの知らんのかなって、思われてたかもね。
私、変なプライドあって、そういうの一番堪えるんよね。
取り乱しはしなかったが、そういうことを言った。
「りこちゃん、もう無理やろ。
こんなオレとおってもしんどいだけやろ」。
無理・・・。
そう言って、終われる関係だったらこんなに苦労しないのに。
ズルくて弱いクマオはいつもこんなふうに言う。
「クマオさん、無理とかってすぐに言うけど。
そんな簡単なもんじゃないこと、クマオさんだってわかってるやん。
それって、ただの逃げやん。
そうじゃなくて、もっと私の気持ちに向き合ってほしい」。
私がそう言うと、クマオは顔を上げた。