ここのところは毎日、クマオのために手料理をふるまう。

クマオにとっても私にとっても、それが当たり前のようになり、

気が付けば、毎晩食事タイムを楽しんでいる。

 

今朝は今朝で、クマオにサンドイッチのお弁当を作る。

出勤前にクマオが取りに来る。

 

昨夜12時ごろに「おやすみ」と別れ、今朝8時前にはまた「おはよう」と

顔を合わすのだから、いっしょに暮しているのとあまり変わらないが、

やはり、そこは大きく違うのだろう。

 

「おはよう、りこちゃん」

「おはよう、クマオさん」。

お互い、満面の笑顔を作って挨拶する。

いっしょに暮していないからこそのこの笑顔。

 

お互いの存在が当たり前のようで当たり前でないスレスレの環境。

私はずっとこのままでいいと思えてくる。

 

 

「りこちゃん、行ってきます」。

クマオが手を振りながら、出かけて行く。

すぐに、クマオから電話がかかる。

 

クマオが会社に着くまでは、ずっとこうして繋がっているのだ。

何ていう安心感だろう。

 

 

ところが、その安心感も長くは続かない。

「りこちゃん、今日の夜は久しぶりに自分ちでごはん食べるわ」。

クマオが言う。

 

「いつもオレ、ダラダラして帰るの遅くなるし、りこちゃんも睡眠不足やろ」

「うん、まあね」

「お互いにな。しっかり睡眠とって免疫力向上させないとな」。

 

確かにそうだ。

クマオが来てくれるのはとても嬉しいが、

やはりオーバーワーク気味になるのは事実だ。

 

クマオがそれを気にしているのは本当だろう。

 

でも・・・。

瞬時に浮かんだ疑念。

1週間ほど前の女からのあのライン。

「くぅに会いたい」という女からのそのメッセージを、

クマオが放置しているとは思えない。

 

本当は、今夜はサロンの女に会うのではないのか。

 

電話が切れると、私はすぐに女のシフトを確認する。

夕方からのシフトはすべて予約可能。

ということは、とりあえずこの時点では、

クマオは女と約束をしているわけではなさそうだ。

 

ホっと安心している自分がいる。

 

 

安心したかと思えば、すぐに疑う。

調査して証拠見つけて、上がったり下がったり。

これが私のライフワークか。

だとしたらかなり情けない。