この1週間、毎日クマオとごはんを食べている。
そして今日はバレンタインデーの金曜日。
1年前なら、こんな日には会えるわけもなく、
1日フライングして、クマオにチョコやプレゼントを渡していたところだ。
昨夜、さりげなくクマオに尋ねる。
「クマオさん、明日もごはん食べに来れる?」。
サロンの女と別れたとはいえ、バレンタインデーだ。
何らかのアクションがあるかもしれないし、
「波子」という女も、動向がわからないだけに不穏だ。
いずれにしても、何かの動きがあれば、
クマオはやはり女の方へ行くのだろう。
私のことなど優先するはずもないと、悲しい結論を自分で下している。
「う、うん」。
歯切れの悪い答え方に、クマオが一瞬返答を躊躇したのがわかった。
私はすかさず言った。
「よかった。じゃあ、チョコはせっかくだから明日渡すね」。
半ば被せ気味にそう言い切った。
そう言い切ったものの、その後私の心はモヤモヤし始めた。
毎日、クマオがごはんを食べに来るここ最近の現状。
別に、こちらも無理やり来てほしいと頼んでいるわけではないが、
クマオも何となく無理して来ているような気がしてしまう。
クマオに女がいた時、クマオは私と過ごす時間を
それなりに楽しんでいてくれた。
クマオの持つ罪悪感も手伝って、私に優しかった。
あの頃はあの頃で、また別の不満や不安があったのだが、
今となっては、あの頃の方がよかったとさえ思えてくることがある。
あの時、クマオが女の束縛から逃げて私の所に来ていたのなら、
今度は、また私の束縛から他の所に逃げたくなっているのではないか。
クマオを自由にさせてあげないと。
私の中で、そんな思いもまた生じ始めた。
何となく曇り空の心だ。
嵐の前触れでないといいが。