今日、金曜日、女は仕事を休んでいる。そのことがクマオと関係があるのか。
気になる私だが、昨夜、いつも通りクマオと食事。
クマオは全部おいしいと本当によく食べてくれる。
いつも以上に、穏やかな時間が流れる。
「明日も忙しいの?」
私はそれとなく、今日金曜日の予定を尋ねる。
「うん。まあね」とクマオ。
私は、用意していた言葉をクマオに言ってみる。
「クマオさん、今日たくさんおかず作ったから明日お弁当できるよ」。
もし、クマオが「お願い」と言ったら、確実に午前中は仕事だ。
クマオの答えは、「助かるよ。お願い」。
普通ならこれで、今日クマオが女と旅行しないと思いたいところだが、そうはいかない。
以前、クマオからお弁当をお願いされたその日、クマオは、午後から半休を取って
女と旅行に出かけていたことがあった。 午前の仕事を早めに切り上げて、さっさと
準備して出かけるために、お弁当は好都合だったようだ。
お昼に私のお弁当を食べて、夜に女を抱く。
その時、ものすごく傷ついた経験が、私を余計に勘繰らせるのだ。
しかし結局、それ以上クマオに尋ねず、クマオも何も言わなかった(当然だが)。
知らない方がいい。知ってもしかたない。心からそう思うには私の心はまだまだ弱い。
今朝、クマオにお弁当を手渡す。
「りこちゃん、ありがとう」。はじけるような笑顔のクマオ。
それから、私が家を出るまでの1時間あまり、クマオと私は電話で繋がっていた。
たわいもないことを話し、昨夜のことを思い出してケラケラ笑う。
クマオに変わったところはないように思える。
日曜日にクマオにまた会える。おいしいお店を予約してくれるだろう。
ざわつく心を抑え込んで、ここを踏ん張れば、私はまた強くなれるはずだ。