金曜日、通常ならクマオと女の合体日だ。
女もそれに合わせたスケジュールになっている。
なので、今日はお見舞いには行けないな。そう思って過ごしていた。
ところが、6時頃、クマオから電話。
こんな時間に電話をかけてくるということは、女はまだ来ていないのかな。
そう思いながら電話に出る。
「りこちゃん、今日はこれから何するの?」
「何にもしないよ。ごはん食べて、テレビ見てだらだらするだけ」。
「今日は来ないの?」。
「え?行けるの?」
「おいでよ」
「あ、でも、土手までにする。自転車で行くといい運動になるし」。
私は敢えて、「土手まで」 とそう言った。
時間はわからないが、その日は必ず女も来るはずだ。
そう思うと、私は無意識に変な遠慮をしてしまう。
クマオも 「わかったよ」 と言う。
土手には10分足らずで着いた。クマオの病室を見上げる。
クマオが手を振っている。そして電話。
「りこちゃん、道渡って、ロビーまでおいでよ」
「うん」。
クマオと私は、ロビーの椅子に並んで座った。
「明日退院できるかもしれない」
「えー!そうなの!」
「だから日曜は、どこかにごはん食べに行こう。何が食べたい?」
「えー!クマオさん、退院早々そんなの大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」。
そんな会話をして、やっぱりその日もローソンで、お菓子やスイーツをたくさん買ってくれる。
「クマオさん、ありがとう。お金使わなくていいのに」。
「ええねん。オレはこれがしたい。りこがおいしい顔するのがうれしいから」。
これって、やっぱり愛だ。何の愛だろう。友達を超えている気がする。
でも、恋人ではない。でも、「友達以上恋人未満」 でもない。でも、不思議だ。
実際の恋人同士だった時より、強い絆を感じる。
「りこは恋人を超えた存在」。いつかクマオがそう言った。
今、ようやくそれを受け入れることができる気がした。