日曜日。 お昼ごろからクマオと出かける。
優待セールで買い物をする予定になっている。
私は少し前にクマオに買ってもらったワンピースを着た。
「りこちゃん、そのワンピ、めっちゃええわ。」
「よかった。クマオさん、ありがとう。私、自分ではこんなん買えないし」
「いや、りこは着るべき人やから。オレはりこが喜んでくれたらそれでいい」。
頭の中で、常に女に対してマウンティングしている私は、「着るべき人」というクマオの
言葉に有頂天になる。単純に女に勝った気がする。
クマオのことだ。きっと女にもいろいろプレゼントをしているはずだが、不思議とこの瞬間は
そういうことが気にならない。
そして、最近、ほんとうにクマオは優しくなった。
私に対する負い目から、そうなっているとしたら、私はもうこのままでいい。
考えたら、年下男との付き合いに付き物の不安。 それさえも、こうなった今では、もう
恐れる必要もない。 言わば、その種の不安の最たるものが、見事に的中し、私の身に
降りかかったのだ。 そして、今、私はそれを乗り越えようとしている。
今さら、これ以上何を恐れる必要があるのだろうか。 何もないはずだ。
見慣れたクマオの横顔が、こっちに向けられることを待って、私はじっとクマオを見つめる。
クマオがふいとこっちを向く。 目と目が合い、お互いの気持ちを確かめ合うように、微笑む。
この瞬間が最高に幸せだ。 恋人関係には戻れなくても、私は取り戻したと言えるのでは
ないだろうか。 気分に波があるのは仕方ない。
クマオに近づけば近づくほど、生々しい女の影に気づくのも変わりはない。
それでも気がついたら、私とクマオの第2章はすっかり軌道に乗ってきている。
「第2章」(過去記事です)