「クマオさん、彼女のどんなところが好きなん?」
木曜日。クマオがごはんを食べにやって来た時、女の姿を思い浮かべながら、
クマオに尋ねた。
「そうやなぁ・・・」
「身体?」
私は追い打ちをかけるように言う。
「・・うん、まあそれも半分はある」。
半分。 それを多いと捉えるのかどうなのか。私は複雑な気もちになる。
「じゃあ、あとの半分は?」
「・・・まあ、しっかりしてるし・・・常識的なところがあるし・・・、
さっぱりしてて、男女問わずモテる人やと思う。そんなところかな」。
は? さぱっりしてる?
そう見せてる女に限ってものすごく執念深いってことを、クマオは知らないのだろうか。
あの茶髪の怖そうなおばちゃん、さすがに上手にクマオを騙している。相当だ。
それにしても、半分・・・。 さっきのクマオの言葉が私の心に生々しく残る。
数分経って、やっとわかった。
身体が9割だと、やはりそう言ってくれた方が私にはよかったのだ。
私の心にジェラシーの火がついた。
「そっか・・・。素敵な人なんやね。会えてよかったね」。
そういうのが精一杯だった。
「りこ、大丈夫か?」
クマオは、私が傷ついたと心配している。
「じゃあ、私のことは?いったいどこがいいの?」
「りこのことは・・・・もう理屈を超えて、好き。ほんまに大好きや」
「それって家族みたいにってこと?」
「うーん・・・いや、それ以上に好き。とにかく大好きやねん」。
そう言われると、私も同じ気持ちだと思える。
「・・・クマオさん、私も同じ気持ち」。
やはり。ここまで。これが限界なのだ。クマオと私はずっと以前のような恋人同士には
戻れない。それならそれで、クマオの言った身体以外の半分も私にだけ向けてほしい。