新幹線から降りると、空気がひんやりしている。
「肌寒くなってる。熱燗飲みたいかも」
「そうやな」。
クマオと私は,駅近くの小さな寿司居酒屋に入る。
大型連休最終日の夜。さすがに人は少ない。クマオと私は、酢の物やらお刺身やらを
少しだけ頼んで晩酌する。
決してお腹が空いているわけではない。ただこの旅行を納得のいく形でしめたかったのだ。
熱燗を飲むと、また心がうるするする。私は涙の味の熱燗を飲む。
「クマオさん、私、ほんまに幸せ」
「いっぱい傷つけた。嫌な思いばかりさせた」
「うん・・・でも、なんでかな。幸せなん」。
そう言うとクマオは笑顔になった。
「もう1軒行こか」。
「いや、もう帰ろう。それより、私の荷物がクマオさんのキャリーに入ったままだから、
タクシ―降りたら、キャリー開けてね」。
「帰ったら、りこんちに持って行く」。
え!持って来てくれる?え?クマオは女のところに今日は行かないんだ。
楽しい旅行の一日の終わりを女のベッドで終えてほしくないと思っていた。よかった。
帰宅後、すぐにクマオが私の荷物を持って家にやって来た。
「クマオさん、飲みなおそう」
「うん」。
まだまだクマオと過ごせる。