怪しい。クマオの一挙一動にすべて何かの意味や魂胆、罠さえあるように感じてしまう。
クマオのことが大好きなくせに、クマオのことを誰よりも疑う。クマオを警戒するくせに、
誰よりもクマオを信じる。この矛盾した気持ちがその時の私だ。
その日2月1日が、女の誕生日だったと知ったのは、それから数日後の火曜日の夜、
クマオがご飯を食べに来た時だった。
クマオから「今から帰る」と電話があったのは夜8時半近く。私はもうお腹がペコペコだった。
女と会う水曜や金曜は、たいてい6時半には帰って来ているくせに、私の家に来るときは
こんな風に遅くなる。私は悲しい気持ちでいつもクマオを待っているのだ。
そしてその日、とうとうその愚痴がでてしまう。また愚かな私が現れる。
「クマオさんは、彼女に会う時は急いで帰るんだ」
「え?何か見た?」
「うん、この前の金曜日だって、午後からお休みして彼女とお出かけしてたでしょ。
クマオさん、私と付き合ってる時なんて、お仕事午後から休むなんてことしてくれたこと
なかったのに。彼女のこと、本当に好きなんだね」
「りこ、またそんな話になるの?」
「私、すっきりしたい。そんなに彼女が好きなの?」
「・・・あの日は、彼女の誕生日だったからね」
「え?クマオさん、私の誕生日にそんなことしてくれたことあったっけ?」。
もうここまでくると、私は制御不能になった。