「りこちゃん、もう一度だけ話があります」。
「りこ、ごめん。わがまま言いたい」。
「ごめんな、ごめん。気持ち整理してから言う」。
クマオからこんなラインが届いていた。もう何度目の和解交渉だろう。
ラインを見た瞬間、私はもう心が決まる。
クマオの言う「わがまま」。それは、自分は彼女とは別れない。でも私ともこれまで通りの絆で
繋がっていたい。そんな身勝手を許してほしいということなのだ。
ふと思う。それでもいいじゃないか。
どうせもうあと数年もすれば還暦を迎える年齢の私。
もうとっくに終わっている。こんな年齢になっても、いっしょに食事をしたりお酒を飲んだりして
くれる若いボ-イフレンドのクマオ。そういう位置づけでいいのではないか。
それこそが、ずっと願っていたクマオと私の「第2章」ではないのか。
こういうのをダメ女というのだろうか。プライドはないのか。
私は、とことん考えた。考えても考えても、いや、考えれば考えるほど、クマオなしの人生は
考えられなかった。そう心が叫ぶ。
私は素直な気持ちをクマオにラインした。
「クマオさんに会うと、とても楽しいけど、何気ない会話や所作にもアホみたいに傷ついてしまってる。
長い間クマオさんの愛情を一人占めしてきたから、どうしてもがんばっても傷つくことは避けられない。
それが積もってキャパオーバーになって爆発してしまう。それを繰り返してる。
でも私の本当の気持ちはクマオさんとこれまで通りずっと仲良くしていたいということ。
今後私がどんなに感情的になっても、泣いても怒っても、気にしないでほしい。普通にお電話してきて
ほしい。そのうち、私も新しい彼氏をみつけるから。」
クマオから、返信が来た。
「りこちゃん、ごめんな。ありがとう。わかったよ」。
短い返信だったが、これでまた仲直り完了。