依然重い重い鉛が詰まっているかのような私の心。
春爛漫の気候なのに、私の世界はモノクロでどんよりしていた。
これではいけない。こんなまま終わってたまるか。私はリハビリをしなければならない。
思えば、クマオと出会う前は、どこへ行くにも何をするにも大抵一人だった。
一人が気楽だった。観たい映画があればその気になった時に行ける。
美術館に行くにも、人気のお店のランチに行くのも一人。
何となく身体が動かなければやめる。その自由を楽しんでいた。
もう一度あの時のような自分になろう。
仕事帰りに久々に出かけた。洋服を買って、ビールを飲んで、一人レイトショーを観た。
クマオからの連絡があっても無視する。私はそう決めた。
そう決めたのに、映画の最中、クマオからラインが来ているのではないかと
気になって気になって仕方のない私。私はクマオがいなければ私でさえなくなるのか。
結局せっかく観た映画にも入り込めず、私は帰路についた。
「しょーもない私になってしまった」。
駅に着くともう11時を廻っていた。雨が降っていた。びしょ濡れになりながらも歩いて帰る。
寂しい雨の夜。ふと濡れたついでにまわり道をしてクマオの家の前に行きたくなった。
クマオの車があったら、連絡してみようか。そう思いながら歩いた。
車はなかった。「また女といるんだ。二人はもう一緒に暮らしているんだろうか。今何して
いるんだろう」。そんなことを考えると涙がこぼれた。
「もう私のことなんて考えもしてくれてないんだね。何?この温度差。
クマオさん、こんな日が来るなんていまだに信じられないよ」。
そうもう絶望しかない。もう生きていたくない。死にたい。本当に死にたいよ。
私は声をあげながら泣いて歩いた。
自分史上最悪の夜はこうしてどんどん更新されていく。
暗いトンネルの中、私は1歩すすんで2歩下がる。