女との約束をすっぽかしそうになり、大慌てで帰って行ったクマオ。

 

クマオはもう毎晩女と寝ている。自宅のベッドで眠るのではなく、毎晩女の部屋へ行き、

 

女を抱きながら、腕枕をしながら朝を迎え、出勤前に自宅に戻り、支度をして仕事に行ってる

 

のか。私はクマオの行動をそう推測した。

 

ある朝のことだった。私は大きな公園の横の歩道を散歩していた。

 

早朝なのでまだ走っている車は多くない。見通しのよいその道路。前方から1台の車が

 

信号で停車。運転席には女性。助手席は空いているが、その女性はしきりに後ろを

 

向き話している。私はピンときた。女の車だ。後部座席にはきっとクマオが乗っている。

 

クマオは私が毎朝散歩していることを知っている。私を見つけ、「ヤバイ」と言って

 

女に何か言ったのか。信号が変わり車は私の横をそこそこのスピードで過ぎていく。

 

運転席の女と目が合った。車を見送った時、後部座席を確認する。

 

一瞬のことではっきりは見えなかったがかなり大きな人が、ひざ掛けのようなものを

 

被って座っているのが見えた。クマオだ!私は振り返ってその車が見えなくなるまで

 

見ていた。「怖いよ。ずっと見てるよ」。女のそんな言葉が聞こえてくるようだった。

 

嫌なものを見てしまった。もう私には爽やかなすがすがしい朝は来ないのか。

 

その日の午前、いつもとは違う時間帯の仕事中にクマオからのライン。

「りこちゃん、調子どう?」。

 

きっと朝のことを気にしてるのだ。バレているのかどうか探りを入れてきている。

 

こんなはずじゃなかった。私の「第2章」のシナリオはまたも崩れる。