「あ~、酔っぱらったよ」。
10時過ぎ、いつものように、クマオは酔ったフリをして帰ろうとしていた。
そして帰る前の一時休憩のようにソファに横たわる。
私は横になっているクマオの肩を揉んだり、足裏マッサージをした。
「気持ちいいよ。りこ」。クマオはそう言いながら、その日は疲れていたのか本当に
眠ってしまった。私もクマオをマッサージしながらそのままクマオにもたれて
眠ってしまっていた。
ジージーとなる携帯の着信音で目が覚めた。ふと時計を見ると11時をまわっている。
女からだ。私はクマオのカバンから携帯を取り出し、女の名前を確認。
ふん!二度とかけてくるな!私は着信を切ると、またクマオにもたれて眠った。
10分後ぐらいだろうか、クマオが飛び起きた。「何で起こしてくれなかった?」
クマオが叫ぶようにそう言った。
「クマオさんがあんまり気持ち良さそうだったから」。
「はぁ?普通起こすでしょ。」
「だから、気持ち良さそうに・・」
「早く帰らなきゃ、帰らなきゃ、ヤバイよ」。
慌てふためき、ふらつきながら靴を履くクマオ。
「約束あったんだ」。私は低い声でそう言った。
「ないよっ!時間遅いでしょ。もう11時まわってるやん!」。
「こんなに遅い時間なのに?これから会うんだ」。
精一杯の嫌味。
クマオは聞こえないフリをして、「明日早いから。朝早くから仕事だから」。
適当なことを言うクマオ。結局、クマオは私に「ありがとう」も「お休み」も言わないで
バタバタと家を出て行った。こんなことは初めてだった。
憎らしいクマオ。そして女。
その瞬間また苦々しい気持ちになる私。また今晩も私に平和な眠りはない。