16世紀のハンガリー
将軍や政治的指導者・聖職者に裁判官そして大地主等、ボーランドやトランシルヴァニアにて多くの支配者達を選出していた指折りの影響力のある家柄の中に生まれたひとりの女の子が、その後歴史を揺るがすそして人々を恐怖に落とし込むような事件を起こしていく。
名前はエリザベート・バートリ
彼女は1560とも61年とも言われる年に生まれて、1614年の間にこの世に存在した女性でした。
叔父のポーランド王であるイシュトヴァン・バートリの姪であったのだが、実はもうひとり・・同じ名前の人間が一族にいて、その人間はオスマン帝国との戦いにて、ヴラド3世ドラクル (呼び名は他にも)
そうあのドラキュラ伯爵のモデルとなった人物とも戦っている。
そんな裕福な一族に生まれた彼女は、高貴な血筋と美しさで随分と人目を引いたと聞きます。そんな彼女が結婚をしたのが、
当時25歳のフェレンツ・ナダスディ伯だった。彼は高名な人物で裕福であり戦争でも英雄とされる人物だったが、教養には乏しくそれとは対照的に、エリザベートは数ヵ国語を話し読み書きもできた。
ナダスディ伯としては、彼女と結婚する事でその名を高めようとバートリのを名乗るという形をとるのである。
そんな2人には共通の趣味があった。
1575年5月8日・・・
彼女が14歳の時にそれは始まった。
実はこの結婚で結ばれた2人に共有できた趣味というのが、共にサディストであったとした事。彼の方は興奮すると酷く殴ったり鞭で打ったりする為に、ハンガリーの黒い英雄というあだ名がついていたほどだった。しかしそんな行為も、妻・エリザベートの前では負けていたという。
そんな彼女は血の伯爵夫人と言われていた。
このエリザベートの物語での残酷な行為は、私の好きなベルサイユのばらでも外伝として漫画でも描かれている。![]()
(彼女がモデルとなっている単行本10巻より)
漫画の中では、主人公達が生きた18世紀のフランスとなっているけど、実際はもっと昔の16世紀ごろのお話だ。
姉の家を訪ねる主人公達が、途中で出会う伯爵夫人の姿。
冷汗をかくほどの恐怖をおぼえた主人公達だったんだが、この漫画で描かれているエリザベートがとった行動は、ほぼ史実のようである。
彼女と結婚をしたナダスディ伯でさえ、妻の乱行には不快感をもよおす事もあったというが、夫である彼の方は同じサディストでもまだその限度をわきまえていたというから意外だ。
エリザベートの行動は、一族であるバートリ家にあった。純潔を保つための近親結婚を繰り返したのだ。彼女の両親も又そうゆう関係だった。それ故にこの家には、今でいう統合失調症やサド・マゾ・両性愛そして彼女のようなサディスティックな性質を持つ人間が、数多く生まれる事となった。
4,5歳の頃突然てんかんの発作を起こすようになり、激しい怒りにかられて制御不能になる発作が襲うようになる。
感情の起伏が激しく冷静から突然怒りを爆発させてしまう。
当時高貴な身分の少女に対して養育係風情がしつけを施す事をあまり良しとしなかった時代。甘やかされて自分の思うとおりに生きてきた故に、傲慢で横柄になり自分の美貌にしか興味がもてない人間へとなってしまったのだ。
彼女が幼少期の頃。
ある公開処刑を目撃している。死刑宣告を受けたロマが、馬の腹の中に無理やり入れられて腹を縫われ、馬共々苦しみもがいて死んだという場面だ。幼少期でもあった事でこうした残酷なシーンが、後に人間形成にも影響していったとも言えるかもしれない。
ここでいうロマとは、インドを起源とする民族で諸説あるが、10世紀頃ヨーロッパへと移動を開始したとされている。流浪の民のような者達のことである。行く先々で迫害を受けていた民達の事。
そんな彼女は夫が戦争で2人の居城を留守にしている間、暇を持て余し話し相手として彼女と同じように残酷な性格を持つ伯母のクララと、従僕のソルコという神秘術を崇拝する人間らと、黒魔術や拷問方法の工夫やあらゆる薬の実験などに夢中になったという。
実は伯母クララは、ムチ打ちを得意としていた。![]()
ある時点から彼女は弱い者達を、そして自分の周りにいる召使の中から思春期の小間使いの少女達に、拷問という残忍な行為をする事に喜びを覚えていく。信用できる使用人を5人ほど雇い、口外すればお前たちも同じ目にあうぞと口止めをして、小間使いの少女達を監視させていた。
彼女がその頃そうした少女達に施していた拷問とは、文字で起こすのもおぞましい残忍な行為。ある者は口数が多いとその口を糸で縫われ、ある者は血がでるまで殴られて、その後トゲだらけのイラクサというものでムチ打たれたり、盗みを疑われた少女は服を脱がされて、その身体に焼けて熱くなったコインを肌に押し付けた。そして最後は自身の興奮とスリルの為に、少女達を殺して尚拷問を加え、その手足を切断するという行動にでた。![]()
これはそうした恐怖が生み出した逸話なのかわからないが、小間使いの口の両端に手を入れて口を裂き、首を折って頭を引きちぎったとも伝わる。そこまでやれば、もはや人間業ではないな。(笑)![]()
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そうして彼女の手元には、あらゆる苦痛の為の道具が揃っていった。
小間使いが誤って髪の毛を強く引っぱってしまった時、その小間使いを平手打ちした時に思わず鼻血が出てしまい、その血が彼女の手についたことがあった。それを小間使いの少女自身に拭わせたら、その部分が若返っていた気がした。
そんな気がした・・・・
それが後に始まる少女達を殺して、そのまだ温かい血を桶に溜めてその中に身を浸す。滑らかな肌にこだわった彼女の城での習慣となっていくのだ。ここまでくればもはや狂気としか言いようがない。
そして段々とエスカレートしていく彼女の行動は、これ以上のものであり夫も正視する事をためらい部屋を出ていく。
彼女は段々と自分が手をくだし、その最後の仕上げは野生の動物たちに襲わせて、あるいは鳥や虫などにやられて死ぬ。
そうゆう行為もとるようになっていった。彼女が一番のお気に入りとしていたのは星蹴りといったもので、それは油を塗った紙切れを足の指の間に挟み。その紙切れに火をつけて放置する。
少女達は熱さと苦しさに、思わず空を蹴り上げる・・・その行為が星を蹴っているようだと、星蹴りという名をつけていたようだった。
彼女とその夫の城があった領地の人々は、こうした事をなんとなく気づいていても、相手が力のある貴族である事で、犠牲者らが弱い者達であった事もあって、自分達の主を咎めるということもなかったという。
こうした事が30年以上経過した頃。
1609年頃には、自分達の領地からは若い娘がいなくなったという。
それ故なんと今度は、獲物を求めてその範囲を広げようとしたというから驚く。城に下級貴族の子女の為の学校を造り、表向きは礼儀作法とか教える為・・・しかしその裏で多くの少女達が行方不明となる事件が続いて、その事でもしや殺されているのではと疑われて、その事を訴える者も出てきたのだった。
その訴えを起こしたのが、城の近隣に住むイシュトヴァン・マジャーリという司祭であったことで、今でいう地元警察のような人間らは耳を傾ける事となるのだが、もっとも重要視したのがいなくなった少女達が、貴族であったとした事だった。
これが村などの身分の低い子達のことならば、放ってかれたかもしれない。
これまで彼女の身内らは、そうした行為が外に漏れないようにと知られないようにと、地元の中傷や無知な迷信だと片付けたり、様々な画策を長年やってきた。それはエリザベートの行状をよく承知していた為だったのだが。結局マジャーリ司祭の証言がハンガリー国王の耳にも入る事となり、国王はジェルジ・トゥルゾーという男に疑惑の城の一斉捜索を命じたが、実はこの男もエリザベートの隠ぺい工作を請け負っていた一族のひとりで、なんと彼女の従兄弟だったのだ。
故に捜査する前から、この城で行われていた真相はよくわかっていたのだった。
なんということだろうか・・・・
だが、彼がわかっていると思っていた事よりもはるかに多くの現実が、今まさに城内に入った彼の目の前には広がっていたのだった。
それは大広間に転がる少女の遺体。
その傍らには、身体中を穴だらけにされた少女の姿もあった。その子はどうやらまだ生きているようだったが、捜査していく中で複数の小部屋からも遺体や瀕死の少女達が大勢みつかり、地下では多くの少女が吊るされて、裂かれた体からはその血が桶を満たしていた。
その地下の床を掘ると、そこからは50体の遺体が・・・・
こうした事を只やっていたのではなくて、なんとエリザベートはこれまで自身が手にかけた少女達650名の名前を、ちゃんと記録として残していた。それが机の中から発見されたのだ。
意外に几帳面・・・いや、思い出してはほくそ笑んで思い出していたのかもしれない。![]()
あーだったこーだったって、
それまでは彼女の犯罪を黙認して、外に知られないように隠ぺい工作をしていた身内のひとりだったトゥルゾーは、この時は捜査の指揮を国王から命令されていた為に、エリザベートと4人の共犯者達を逮捕した。だが5人目の協力者は新入りの使用人であったが、この時一旦は逃亡するも・・・後に捕まえられている。
当時貴族を逮捕して裁判にかける事は、法にて許されていない行為であった為に、彼女は一旦城の中に幽閉という形で軟禁された。そして一度も法廷で証言する事もなく、彼女の代わりに共犯者らが全ての非難を被り罰を受ける事となった。
彼女が法廷に出なくとも、その多くの証言にて彼女の有罪ははっきりしていたのだが、有罪にて処刑となればその広大な領地は国王に没収される。王はこの厄介なバートリ家を自らの支配下に置きたかったのだが、王の手が届かない城内に置かれていて、強い影響力を持つこの家はそうやすやすと国王の手中に入る事もなかったのである。
共犯者らの裁判は、王立最高裁判所にて行われたが、20人もの裁判官が関わる事となった。
裁かれた内容には、12歳の女の子の死もあった。
誘拐されて囚われていたが、一度はなんとか逃げ出すものの2人の協力者に追跡されて、激怒したエリザベートはその子を大きな球状の檻に閉じ込めて、滑車で吊り上げ側面から突如何十もの鋭いトゲが突き出して・・・少女の体を貫いた。
又他の内容の中にも、病床の中にいたエリザベートがその衝動を抑えきれなくなり、そこへ少女を連れてこさせると、引きずられてやって来たその子の頬や肩にも噛みつき歯を立てて肉を食いちぎり、最後は胸に噛みついた。協力者らの罪も重く・・・、4人逮捕の中・・2人は魔女と判断されて、焼けたペンチで指を引き抜かれて生きたまま火あぶりに処された。1人は終身刑を言い渡されて、小人がいたのだが他の者よりもその罪を軽減されたはずだったが、その首をはねられてからその遺体は火で焼かれた。![]()
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新入りで一度逃げて捕まってしまった1人は・・その後処刑されて、唯一他の召使や被告人らの証言で、無実の証を立てられて死を免れた人間もいた。罪人に対する虐待や野蛮な刑罰が認められていた時代。その内容はおぞましいほど、不快なものばかりであった。
残されたエリザベートの罪だが、彼女も同じ罪を受けたがそれは彼女自身の一族からの強いたもので、家名を保つために彼女の命を守る努力をしながらも、彼女はバートリ家の脅威であり面汚しとなっていて、彼女を再び自由な身にしてはいけないと、城の寝室に監禁して逃亡は不可能なのに看守までつけて、部屋には喚起と食事用の小さな受け渡しの為の隙間だけを残し、厳重に彼女を閉じ込めた。
そこで彼女は3年あまり生きてそして、1614年8月21日
狭い独房でうつ伏せになり死んでいた。
発見された時彼女は54歳だった。
死後も様々な物議を引き起こし、一族は城内に埋葬する事を望んだが、地元の人々に嫌がられて彼女が生まれたハンガリー南部のエチェドに埋葬される事となった。
バートリ家が農民達の意見を聞いた事にも驚くが、黒魔術的に城に埋葬すれば、今度は悪魔崇拝者らに利用されてしまうかもしれないと、彼女が死して尚家名を汚し後世まで一族の汚点となる事を恐れ、そうした黒歴史を全て遠ざけて、消してしまいたかったのかもしれない。
結婚して夫と共に暮らした城は、ハンガリー北西部のカルパチア山脈の高地にあるチェイテ城と言われる場所だった。
その城は現在はチェコスロバキアにあり、13世紀中期に造営されて
1575年彼女の結婚にて、ナダスディ家から贈られたという。
彼女の夫は1604年に死別となっていて、そこから一層行動がエスカレートしていったようだと言われている。夫が亡くなってチェイテ城に居を移したようだ。
漫画ベルサイユのばらで描かれた内容は、一部創作が入っているようで原作さんの力量が伺えます。漫画は漫画・・・史実はもっと凄い内容だった事にドン引きですよね。私もこれでいいんかいって、ちょっと心配になって不快すぎる部分を一部カットしてお送りしました。(笑)
それでもかなりえぐい内容ですよね。![]()
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エリザベート・バートリは、今日まで数多くの映画や漫画アニメ小説に、ゲームなどの中に取り入れられている。
そして彼女と夫が暮らした城跡は、現在もそこに見る事ができるようである。検索したら出てくると思いますよ。





