先日映画Flowという映画を観てきた。
公開10日目なのに、その前に観に行ったベルばらよりも多くの観客が入っていた。行く前にネットで売れてる状況を確認した時は、まだ私を入れても10席程だったのに、劇場に行ってみたら・・・![]()
多分その後にネットで購入したのか、劇場で買って入場してくれたのか、日曜日の午後4時前からの1回上映なのに、そこそこ入っていてくれて、期待された映画ってそうだよねって・・・・
前出の古参ファンを名乗る私としても、令和版ベルサイユのばらの初日と2週間後の入りの悪さ。着席した人数が2列の席が埋まらないほどであった事は悲しい現実だった。
アニメであればやはりそれなりに入っていてもおかしくないよね。
さて、その映画の内容なのだが、
1匹の黒猫が、住み慣れた家を後にして・・・
次々に出会った動物の仲間達と共に、安住の地を目指すといった物語だ。だがそれは只の旅立ちの物語ではなくて、世界中が大洪水に襲われた後の人間がいなくなってしまった世界でのお話。
映画冒頭に出てくる家とその周辺の様子で、多分黒猫が元々住んでいた場所なんだろうと思わされたのは、庭には猫のオブジェが沢山置かれていて、家の目の前の少し離れた場所には、巨大な見上げるくらいの大きな猫の象が見えていたとした事だ。
そして何よりも、この子がきっとこの家の主に愛されていたんだろうなと思うのは、割れた2階の窓ガラスから中に入ると、机の上には猫のデッサンがあり、彫られた猫の彫刻・・・・
そして何よりも、猫がベッドの臭いを嗅ぐシーンが、ここがこの子の安住の場所なんだと思わされた。
きっと彼 (黒猫) は主がいない理由がわからない。
何が起こっているのか起こるのかも予測もしていない。
猫は自由な生き物だから、きっと主もいつか戻るのではと思っていたのかもしれない。部屋から外に出て目の前を流れる川に沿って彼はいつものように散歩していた。その時数匹の外に放たれた元は家で飼われていたんではと思う犬たちに襲われそうになり、慌てて逃げ出す猫なのだが・・・上手く巻いたはずの犬が突然遠くから慌ててこちらに駆け戻り、自分を無視して去って行く。
猫がキョトンとして彼らがやって来た方角を見ていると、今度は角をはやした大きな鹿の群れが大勢でこちらに駆けてきた。
そしてその後すぐに大量の水が大波となり襲い来る。
慌てて逃げるけど、戻るのはやっぱり暮らし慣れた家の部屋の中。
そんな時に1匹の犬が群れから離れてしまい、猫の後を追いかけて家の庭までやって来るのだけれど、その途中で大きな白い鷺のような鳥も登場して、ここで後に仲間となる動物達が出会う事となる。
鳥はすぐに飛んでいくけれど、猫と犬もその場では押し押せてきた水で水没していく家の周辺で、偶然流れて来た小さな船に乗っていた犬の仲間達に犬は合流。猫の事を気にかけながらも猫は犬とは別行動して、なんとかその場から立ち去る事が出来たのだが、
猫もその後に流れて来た一艘の船になんとか乗り込む事ができたのだが、その船の中には先客がいて・・・
それが体の大きなカピバラ・・・この子はのんびり寝てばかりなのだが、猫とカピバラの関係も面白い。
そして次に又次にと、意外な動物達が合流して来る事となり、最後はあのシラサギも乗り込んできて、この子達の過酷な旅が始まる事となる。 ちなみにこのシラサギと猫とは、何か不思議な縁を感じるシーンが多い。犬や猫は少なくとも誰かに飼われていたと思わされる場面があり、この大災害の中を生き抜いていく知恵を自ら手にして行く。
映画を観ていて何度となく涙がほろりとしてしまう場面があった。
そして猫を知る人間ならばわかるあるあるな行動が、なんとも危険を感じて手に汗握るとしたような場面も・・・・
それとは別に個々の個性が演出されていて、特に私も好きな動物のひとつであるワオキツネザルの収集癖に、えっ!?キツネザルってそうゆう子なのかと驚いたりもした。(笑)
突然勇敢な行動力を見せるカピバラ
仲間達をずっと船頭していくようなシラサギ
遊びが大好きな犬
きっと地球温暖化が進んだ未来で、彼等の住む世界は崩壊してしまい。北極だか南極だかの氷が溶けて、多くの島々も都市も沈む事となったんだろうと思うのだが、まだそこには山もあり草木も茂陸地も見えていた。徐々に浸水していく世界の中で、どこへ向かうのかわからないままに船は海原を進んで行く。
途中で大きな鯨にも出会う。
映画の最後には象徴的な役割を果たす事となる場面や生き物との出会いと別れがあり、人間も考えさせられる場面もあったりもする。
この世の中にどれだけの生き物たちが生存しているのかもわからないが、人類というものは一切出てこない。
どこへ避難したのか死滅してしまったのかもわからない。
荒廃した建物や廃墟と化した場所があり、多分最近まで暮らしていたよねってな場面が出てくるけど、人間が慌てて出て行ったような様子もなくて、忽然と消えてしまったような雰囲気を感じた。
その中で生き残った彼らは、生きる為に食べ物を探しそれを共有して、互いの性格や行動さえ共有し認め合って行く。
水の中に潜った猫の姿に、犬はそこまでしない・・・・私は犬が上手に泳ぐのは知っているが、果たしてそうなのか?
皆初めは自分勝手に行動をしたりするんだが、旅の中で自分達が協力し合わなければ生き残れない事を自然と悟っていく。
少なくとも敵同士ではないんだと認め合う。
さて、人間はどうだろうか・・・・
こうゆう災害が起こったら、一番見えてくる姿だよね。
良い事は初めの内だけ。
途中で船を下りたシラサギが、目指していたのはここだったのかと思う場所が出てくるけど、何度となく助けてくれたシラサギを心配して後を追う猫の姿。そしてその別れの場面はなんとも不思議でならない。
もしかしたらずっと前にシラサギは亡くなっていたのか?
それとも彼らを導くために現れた神様だったのかと、
いや、確かに生きていたと思うのだが、そうしたシーンを見ていると何故だか宮沢賢治の銀河鉄道の夜を思い出してしまった。
80年代にはアニメで映画化されて、主人公らを猫が演じていた。私も地元で公開がなかった事で、時を合わせて大阪の友達に会いに行き。その時にひとりで梅田の劇場で観た事を思い出す。
原案は当時某誌で連載されたますむらひろしさんの漫画。
(2パターンの予告編入りです)
知っている人もいるだろうが、この物語にもシラサギが出てきて象徴的な演出が行われている。物語はひとりの男の子が友達の死を知らずに、知らない内に乗っていた銀河鉄道の列車に乗って、様々な人と出会いながら、本当の幸いを探して旅に出る物語。
目が覚めた時、男の子が受け入れるべき真実と現実とは・・・
そんな風に私には、どこか銀河鉄道の夜と重なって見えた。
でも「Flow」は少なくとも、この先無いともいえない人類に対する警告にも思えた。
すべてが人間が悪い・・・
この子達を苦しめているのは、我々人類なんだと・・・・
只の美しい映像とか旅の仲間との物語ではなくて、どこかメッセージ性もあるんでないかと思いました。
映画の後半を観ていて、早くうちに帰ってうちの黒猫を抱きしめてやりたいと思いましたね。
皆愛された事があったと思う。でも突然何かが変わって撫でてくれる人がいなくなってしまった事で、自分で餌をとり生きなければならなくなった世界。
ラストまでとんでもない危険なシーンが待ちかまえているんだが、映画のラストで再びスクリーンの半分を覆うような波のシーンがあって、その向こうを大きな鯨が悠々と泳いでいる。
その直前のシーンでは、旅の仲間達が互いに頭をこすり合って喜びを分かち合う。でもその足元には・・・・
今時の映画にしては、1時間半ほどの短い映画であり、でもその中には多くのアドベンチャーな旅が待っていて、息をもつかせぬストーリーが連続して起こる。1艘の船に乗り合わせたというと、ノアの箱舟を思いだす人もいるだろうが、そうゆうものとは違う動物達が前向きに生きていこうとする物語だ。
人間ならば必ず争いが起こり、分裂して敵対して自分さえとした考えが浮かびそこから漏れ出してしまった人間は、自ら命を絶つ事も考えてしまうかもしれないが、彼ら動物達にはそうした考え方が持てない、シラサギが新たな仲間を加えると諍いが起こると案じていても、いつものんびりしていたカピバラが、意外な行動にでるシーンも見られた。どんなに苦しくとも、その生を全うする事しかないのだよ。
今現在も水没の危機に直面している国や島がある。
刻一刻と地球温暖化で溶けだしている氷河がある。
目に見えないだけで、海の水も徐々に増えていって、それは大地震でも起これば想像を超えた津波を発動させてしまうかもしれない。
映画を観るホール入口には、津波を思わす描写がありますと注意書きもされていた。水だけでなくて、今起こっている山火事も雨が少なくて起こる事もある。大量の黄砂が現在日本にやって来ているのも、大陸側で雨や雪が少なくて・・・砂を抑え込む力が衰えているとした事でもある。つい数週間前まで寒波だと騒いでいたのが、今はもう春なのに夏のような気温が続いている。
少なくとも私が子供の頃には、もっとはっきりとした季節の変わり目が見受けられた。今ではどこか曖昧で、突然始まる事も終わる事もある。
既に手遅れなのかもしれないが、温暖化のスピードを遅くすることはできると思う。その間に、頭のいい人達が頑張って何か手を考えてくれればよい。
50年100年先の未来。
今よりも大きく変わってしまった地球は想像したくはないが、それが良い方向であれば嬉しい限り。
只・・・、こうした映画のように終わりたくはないものだ。
因みにこの映画では一切のセリフはない。
日本人による吹替えも全くされていない・・・・
だから観る人によってそれぞれの感情が違ってくるかもしれない。
映画製作者によると、猫もその他の動物達も実際のその動物の鳴き声を使っているそうだ。なので彼らの鳴き声が、本当はどういった意味をもって鳴いているのか表しているのかはわからないとの事。
でも、本物の鳴き声をそのまま動物達に使うなんて、よりリアルに見えるということだね。ただカピバラだったかな?
鳴き声がとれなくて、他の声を使っているとの話も・・・![]()
それでも劇場内にいた観客達は皆それぞれの思いを胸に、帰って行ったと思うよ。動物達の鳴き声は、観ている間に自然と台詞のようにして、私の中にも入ってきました。
こちらでも上映回数は少ないけれど、1度は観て欲しい作品です。
ジブリやドラえもんほどの人気は出なかったとしても、いつか思い出す事ができる作品だと思います。
この作品中の旅の仲間達が、エンドロール後も皆幸せであるように・・・![]()
お時間あれば是非鑑賞をお勧めします。



