支那大陸の歴史は、混沌と独裁との間を行ったり来たりしています。独裁と混沌です。それが易姓革命です。
王朝が腐敗して社会秩序が乱れると、新しい王朝が誕生して独裁的な権力を振るう。秩序がいったんは回復されますが、やがて腐敗し、混沌になる。そして、また新しい王朝が立つ。
この繰り返しが支那の歴史です。易姓革命などといってみたところでバカバカしいことです。混乱と独裁の振り子なのです。
社会秩序は自由と規律とのバランスであり、極端な自由は無秩序でしかなく、極端な規律は独裁です。支那大陸にはこのバランスがなく、混沌か独裁かです。
中国共産党の王朝もまだまだ短いものです。百年たっていません。しかも、不安定でいつまで続くかわかりません。
これに比べれば、日本の歴史には自由と規律とのバランスがあります。聖徳太子が「和をもってと貴しとなす」とおっしゃったとおりです。
国際金融資本が生み育てた「共産主義」という虚構が支那大陸の独裁と結びついて、周辺地域を侵略しつつあります。モンゴル、ウイグル、チベット、そして、台湾、日本まで。
こんなことになったのもアメリカが容共政策をとったからです。
このアメリカの態度に国際連盟で反対したのが松岡洋右です。有名な「十字架上の日本」という演説の中で松岡は訴えました。
「二十世紀の今、欧米の一部の識者は、日本を十字架にかけたいと望んでいるようです。皆さん、日本は磔刑を覚悟しています。しかし、日本人は堅く信じています。数年後、世界世論は変化し、日本が理解されるであろうことを。かつてナザレのイエスがそうだったように。
最後に、別角度から皆様の注意を喚起しておきたい。後数分です。極東の実態を短い言葉で皆様に御説明したいのです。
外蒙はすでに支那から離反し、実質的にソビエトの一部となっています。今日、支那の地図にはチベットは記されておりません。支那領トルキスタンは南京の国民政府と没交渉です。そして、労働社会主義を支那の中心部に発見することができます。日本本国の六倍に及ぶ面積に労働社会主義が広がっています。なぜ労働社会主義はこの範囲にとどまっているのでしょう。なぜ急速に広がらないのでしょう。
答えは、日本の存在です。少なくともソビエト・ロシアは日本を重視しています。国際連盟であれ、列強であれ、その他であれ、日本の立場を弱めれば、労働社会主義が揚子江にまで到達するでしょう。
日本が支那を見捨て、支那本国から撤退すれば、支那はどうなるでしょう。その場合、間違いなく労働社会主義が全支那を覆うでしょう。中国代表がなんといって反対しようとも、私は確信します。そればかりではありません。日本がソ連と条約を結び、支那には介入しないと約束したら、そのとき何が起こりますか。
国際連盟の目的が本当に世界平和ならば、私はそう信じていますが、極東の平和が国際連盟の目的ならば、あなたはどちらを選びますか。東アジアで唯一の希望である日本を弱めて極東を混沌にしますか。それとも日本を強めますか。日本を強くすれば極東に平和と秩序が回復するでしょう。
諸君、私はこの質問に対する回答を諸君に委ねます。ご静聴、ありがとう」
松岡洋右は立派でしたが、世界世論は盲目でした。
