戦前の日本では言論が制限されていました。明治以来のことです。その後、日本は防共政策をとりましたから、共産主義の浸透に神経をとがらせていたのです。戦時体制になると検閲も始まりました。

それでも不自由を叫ぶ自由は残されていました。東條英機首相の悪口を言ったり書いたりする人は少なくありませんでした。もちろん、それによって逮捕された人もいます。しかし、不自由を叫ぶ自由はありました。

情報統制と検閲と焚書によって言論が強烈に制限されたのはむしろ戦後です。占領軍は巧妙かつ狡猾に日本人の言論を封じました。日本人は不自由な言論空間の中で不自由を叫べなくなりました。不自由な言論空間にありながら「自由だ自由だ」と言わされているのです。そう信じ込まされているのです。そして、今もなお。

これこそが占領政策というものです。そして、このことこそが戦後日本の言論空間の異様さです。