今回も長くなりました
お時間あるときにお読みいただけたら、嬉しいです

(西日本新聞 2003-10-31付 記事部分 借用しています)


日本産・最後のトキ(朱鷺)であるキンは


2003(平成15)年10月10日
佐渡の佐渡トキ保護センターで、その生涯を閉じました


推定年齢は36歳、雌
人間でいえば100歳をこえる長寿だったそうです


キンの死を取材した下記の記事は、意味深く、当時から心に残っていました


それは、衝撃的な死であり、動物の本能を熱く感じたからだったように思います


それよりずっと以前
スリランカのインドゾウが
飼い主を殺した事件があり


その時の衝撃と似て、動物たちの心理の謎に、心揺さぶられました


心理の謎とは、心のひだ、と言えるかもしれません


以下、記事を抜粋したり、リライトしながら、書いてみます



(西日本新聞 2013-10-31付掲載)


1967(昭和42)年7月
巣立ち直後と思われるキンは、町に迷い出て発見され、宇治金太郎さんという方が監視を頼まれ餌付けなどを行い

翌年、野犬などから襲われるのを防ぐため、保護されました


最初の名前は、トキ子
キンという名は、のちに金太郎さんの名前から命名されたそうです


キンは大切に育てられ
亡くなる頃には介護され
人間と暮らした一生でした


死亡時刻の朝6時
飼育小屋のキンの様子を、監視カメラが捉えていました


それによれば、キンは
眠っていたのに


急に起き


大空に飛ぶように飛翔し
飼育小屋のドアに激突


頭を強打しての
最期だったようです


目もほとんど見えなかったキン
ましてや老躯


それなのに
思いもよらぬ力で
「完全な飛翔」の姿を見せたと記事は伝えています


身近にいた方たちは
その死に、さまざまな思いを馳せました


「大空を飛ぶ夢をみていたかもしれない」

「人の思い通りにはならないという、キンの最後の意地」

また、「35年間、人に慣らされた鳥でも最後の最後に野生が出たということかもしれない」とも


キンが夢を見たとしたら
それはやはり、トキとして大空を舞うこと

野生の強い衝動が、そのとき、キンの内側から湧き出たのかもしれません


日本産のトキの子孫を、という関係者の願いは実らぬまま、キンは年老いてしまいました


キンの記録を綴ったノート(「わたしの一生キン」というタイトル)を付けていた佐藤春雄さん(佐渡トキ保護会前会長=当時)のキンに呼びかけたことばに、思いはつながります


「天国に行ったら、今度こそ親きょうだいとはぐれずに暮らしてくれ。...長寿は喜びだが、かわいそうな一生だった」


野生の鳥たちは、可能な限り、野生にかえす
そして、それぞれの種族の流儀によって、生きていくのがいい

そんな思いが伝わります
それはまた、キンが示した遺言のようにも思えます


佐藤さんは、環境庁が1981年に最後のトキ5羽の全鳥捕獲を決めたとき

「5羽になってからでは遅すぎる。捕獲するより、そっとして自然を大事にすべきだ」と訴えました

佐藤さんは、「それより30年近く前の1953年、最小限の人工飼育」を提言しており、キンに手向けたことばの背景が、より深く理解できるように思います


なお、日本産トキと共生していたトキウモウダニも、その死によって絶滅したことが法政大学などの研究チームによって、わかったそうです
トキウモウダニは、トキの羽のカビや古い皮脂を食べてくれる「掃除屋」さんで、ウモウダニの一種
2003年から2018年に亡くなった中国由来のトキの羽根から見つかったのは別のウモウダニとのことです
この事実にも哀感を覚えます
(朝日新聞デジタル 2020-5-19付 「ダニ、最後まで添い遂げた 日本産トキと一緒に絶滅」参照)


Wikipediaなどによれば

トキは、古くからその存在を知られており、『日本書紀』や『万葉集』では、桃花鳥の名で、歌に詠まれているようです

江戸時代には、日本国内に広く分布

禁猟、肉食の禁止などにより繁殖が広がり、田んぼを荒らす害鳥とされた一面も


明治時代には、肉食習慣の広がりや、その羽根の需要の高まりによって乱獲されます


大正時代末期には、餌場となる水田の消滅などによって絶滅したと考えられていましたが

昭和初期(1930年代)に目撃例、営巣確認


農薬の使用が始まった昭和25(1950)年以降、生息環境が汚染され、食糧となる虫などが減少し、さらにその数を減らしていったようです


こうした経緯は
たくさんの野生動物で知ることです


海も山も
生態系のバランスが崩れるような異変が、人間が感じる以上に起きていて、野生の生き物たちの命の危機に直結しているのだろうと思います


人工孵化に成功し、繁殖が進み放鳥されたトキは中国産ですが

遺伝学的に、日本のトキと99%以上、同じと言われているようです


今年1月
環境省は、特別天然記念物トキについて、「野生絶滅」から、人工繁殖で野生復帰が進んだとして、「絶滅危惧」に指定を変更しました


最後に、このブログを書くきっかけをいただいたテレビ番組「新潟県のポツンと一軒家」から、画像などを借用してお届けします(2020-7-19放映)


佐渡トキ保護センターの初代飼育員だった故高野高治さん
その遺志を継ぎ、息子の高野毅さんが、熱心な保護活動をされている内容で、トキの野生復帰の陰にある、地道な熱い志を知ることができました


父・高野高治さんは、1939(昭和14)年、中国戦線に出征する前日、戦地に行けば生きて帰れないと思い、慣れ親しんだ故郷を一日中歩きました



その時、傷ついたトキを救いますが、後に亡くなりました(記憶があいまいです)


高野さんは無事に復員できたとき、トキが身代わりになってくれたと感じ、感謝の思いから、トキの飼育員になりました


毅さんは、亡き父から、「(トキの餌場を)しっかり見守っておけよ」と言われ、その思いを受け継ぎました






皆さま、おはようございます
ご訪問、有り難うございます
トキ色に似た朝焼けを撮影したかったのに、失敗

最近は、秋の風情に癒されながら、過ごしています
皆さま、今日も一日、明るく元気でありますように!