夏空になると

40代で
病いのため旅立った友人を
思いだすことがあります



彼女を
見送ったのは 真夏でした


空がとても青い日で


ご焼香の列に並びながら

まぶしく見上げた空を
思いだします

30年以上も
前のことです






まだ
彼女が 元気なころ

病室に見舞って


佐藤愛子さんの
読んだばかりの小説
『黄昏夫人』を


語って聞かせたことが
ありました


傷口が まだ痛かったのに


爆笑の連続で.....
わたしも興にのり...


その内容は

48歳の大学教授夫人が 

どうも
自分のは
ゆるいんじゃないかと 

悶々として
話が展開するのだったと
覚えています


そのことに囚われた夫人の
切々とした感じが
おかしくて...


「子宮が哀しみのシンバルをジャーンジャーン」と鳴らすというような

そんな表現で
女性のたそがれ時を
感じさせる小説でした







それにしても
彼女は素敵でした


一緒に
老後しようよ
二人で長生きしようと
語りあったのに...




面倒見がよくて
助けられました


母の命があとひと月
と聞かされ
泣いて、もたもたする私に


航空会社に友達が
いるからと
チケットの手配やら
何やら

全部やって下さって

お陰で、わずらうことなく
故郷へ向かう
飛行機に乗れたのでした


発病前

彼女は
建設関係の会社の
支店長に抜擢されました


交差点で
偶然に出あったとき


ワンピースに日傘をさした
ロマンティックな姿で

今から現場に
行ってくるね、と....

図面をみてもわからないから
「順調にすすんでますか」と
声をかけるだけなのよ、と
 
大きめのオデコで
ニッと笑って

仕事をこなす感じが
何とも彼女らしく

かっこよかったのを
覚えてます


お嬢様として育ったよう
でしたが


ハワイで経営学を
学んだ経歴があるのも
その頃、知りました


ある公演の事務局を
任されたときなどは

経営手腕? を発揮

ありったけのチケットを
男性陣に売りまくり
ました


みな、てっきり
彼女が 隣に
座ってくれると思い込み

いそいそと
会場に出向いたのに

むさ苦しい男性ばかりの
席だったと

のちに笑いばなしに
なりました


グイグイと引っ張ってくれる
年上の姐御肌の彼女と

そのまま
ともに過ごせていたら

いまとは少し
変わっていたかもしれません





じりじり焼けるような
南国の日差し

あおい空



大好きな荒川洋治さんの
詩の1行を
連想したので
引用して終わりにします



「タシュケント昂情」

石。石。石。この高原には石が咲きみだれている。どれも遺跡だ。....でもあの青い空のいきいきとした澄み方はどうだ。.....あの青はうつむきの海だ。するとみみもとで、黒衣の娼婦がささやく。

〈 あの青い空も遺跡よ〉

.....


荒川洋治詩集〈娼婦論〉より



お訪ね、有り難く思います

連想のままに書きました
久々に引っ張りだした詩集
詩につけた棒線は
長い年月がたって
もう消しゴムでも消えず... 

彼女に話して聞かせた
小説のタイトルも失念して
いましたが
彼女の遺稿集に寄せた文章に
書いてあって
思い出すことができました



庭の花は
香りのいいゲッキツです




最近、8年間も外で鎖に
繋がれっぱなしだった
犬の話を知りました

なんて、むごい

そのあと
助け出されていますが....