小さいころ


おぼろげに 
読んだ記憶のある 


安寿と厨子王の
ものがたり


人さらい とは
何て怖いことだろうと


小さな頭に
小さな傷が残った気が
する


笠をかぶった安寿の
画が


遠く 脳裏に 浮かぶ


前回

人さらいをテーマにした
組踊について
書いたあと


つらつらと
思いめぐらした



故郷の恩師から
突然の電話が
あったことも
私の頭のなかで 
クロスしたのかもしれない


何十年ぶりかで
耳にする
恩師の、声


恩師の妹さんが
北朝鮮に拉致された
可能性のあることを
知ったのは19年前...



恩師が書いた文に
よれば



看護学校の
卒業を目前にひかえた
ある日
雪に埋もれた町で
忽然と消息を絶った


当時、警察は
「神隠し」としか
言いようがない...
同様のことが続出
している...と


北朝鮮による拉致が
頻発したとされる
1970年代頃のこと


イタコ
(占いや死者の口寄せを行う)
に尋ねると
北の海を船で
連れ去られて行くのが
見えると言われ


恐山のイタコは
霊界には
来ていないと言った
とある


連れていかれたで
あろう 北朝鮮の
2月



そして... 私の旅の記憶が
そこに かぶさる


春まだ浅い韓国
雪が
少し溶けた場所があって
故郷・東北の風景を
思い出したことなど...



さて

安寿と厨子王に ついて
ネットで情報を
読んでみた


幼い日に
触れたのは

どなたの画で
どんな
内容だったのだろう



そんなことを
思いながら...




安寿と厨子王の
伝説が
郷里の岩木山にも
由縁あることを知った


太宰治が「津軽」のなかで
そのことに
触れてあることも知って
早速、ページを
繰ってみた



安寿と厨子王を
描いた森鷗外の
「山椒大夫」を
青空文庫で読んでみた


佐渡の文弥人形芝居
山椒大夫も
ユーチューブで見て


安寿と厨子王を
めぐる数日間を
過ごした


....




人買い
強制的な連行...

畑仕事に出たまま
連れ去られた人の 話は
昔、読んだことがある


歴史的に見れば
時代によって
 
国家の絡むもの
私利私欲
その他 いろいろ
あるだろうが


ある日
突然に 日常から
連れだされることの
理不尽
翻弄される 悲しみ


... 



わたしは


拉致被害者の
曽我ひとみさんを
思い浮かべる


母親と一緒に
買い物帰りの道で
拉致され

生き別れたまま


いまも
行方不明の母親を
たずね求める
曽我さん 



テレビで見る
曽我さんの表情や語りが
深く 感じられて
忘れられない人に
なった


...


わたしはまた
思い浮かべる


「時代に翻弄された」
と著者が書く

ある
中国残留孤児の
ことをテーマにした
佐藤生夫「満州男」



満蒙開拓民の子として
生まれ
中国人として生きてきた
満州男が

40歳を過ぎたある日
庭先に出て ぼんやりと
過ぎ去った日々を
思い浮かべていたとき

突然に
思いもよらず
日本語の歌が口を
ついて出る

日本語をほとんど
理解できなくなっていた
満州男だが

その歌を口ずさみながら
思わず涙を流す

満州男に
はじめて訪れた
望郷の思い...


最終章ー
日本人孤児として
1981年
肉親捜しのために
訪日した満州男は


もしかしたら...と
名乗り出た家族と
面会を果たしながらも


決定的な確証がなく
中国に帰ることになる



見送りしてくれた母と
連れ立って
無言で帰る  道すがら 



日本の景色の中に
たたずんだことで

より はっきりと
思いだした歌を

満州男は歌う


その歌によって
母親は 
自分の息子だと確信し
本当の再会を
果たすのである


縁でそうとも 
縁でそうとも
柳沢はいやだよ
ありゃせ ありゃせ
おなごからかる
しょんがいな



その歌は

小さい満州男を背負って
子守唄がわりに
よく歌ってきかせた
甲州地方の歌だった
(作品からのリライト)




森鷗外の
山椒大夫 の 末尾は..


二人の子供と生き別れ
盲目となって
烏をおう
母親の口ずさむ歌に
よって


母と厨子王とが
再会する
きっかけとなった


安寿恋しや、ほうやれほ
厨子王恋しや、ほうやれほ
鳥も
生(しょう)あるものなれば
疾う疾う(とうとう)
逃げよ
逐(お)わずとも
(森鷗外「山椒大夫」より)



... 鳥も生あるものなれば
とうとう 逃げよ
おわずとも


優しさにあふれる
この歌を
自分なりに節をつけて
歌っていると...


目の前の小さな虫も
殺せなくなってくる



帰れぬ人をおもい
帰らぬ人をおもう


そんな数日でもあった...





ガーンガーン 間違いの修正ガーンガーン


前回のブログで
女物狂 が  別名 人盗人
と書いたのは誤りでした

人盗人は
女物狂を題材として
琉球の名優・真境名由康が
創作した組踊でした
勉強不足の勘違いです
お詫び致します





庭には
クチナシの白い花が
今年も  咲きました

甘い香りがしています

枯れた花にも
強い香りがありますね


今回も ご訪問
ありがとうございました

思いめぐるまま
まとまりのない
文章になりました

皆さま
日々、お気をつけて...