荷風への旅


久しぶりに
作家・永井荷風の


『断腸亭日乗』(上巻)を
めくっています



一番最初に
出てくる

正月の様子を...


40歳  大正7年 元旦

例によって為すこともなし。午(ひる)の頃 家の内 暖くなるを待ち そこら取片付け 塵を払う。



為すこともなし...
塵を払う...




荷風は 一人暮らし

何となく

静かな気配、たたずまいを
感じます



正月2日は  
父親の忌日


庭の蠟梅(ろうばい)の
花を切り
雑司谷にある
父親の墓に
供えています


墓参のあとは

訪ねて来る人があり

屠蘇(とそ)の用意も
ないので
連れ立って出かけ

春酒を酌み


その日は

忌日ということで

芸妓と
戯れる気もおこらず
家路についた
荷風です







今日のブログは

数年分の正月のみを
抜き書きするつもりで
書き出しましたが...


その日だけ
切り取ると


誤解あるやも知れず...

なので 変更し



前年の大正6年9月から
大晦日までを

概略してみることに 
します


9月20日
木挽町の
陋屋(ろうおく) に行き

医者の来診を待ちます

この陋屋は  もともと 

懇意の医者が
往診に便利なように
借りた家です


この日  荷風は 
腹痛に苦しめられながら


ひとり
三味線をおさらいし
小説を4、5枚書き...

深夜
腹痛が激しくなり

眠られないまま
陋屋の命名を思い

ついに
無用庵と名付けています





21日 来診

22日 
無用庵にて
「おかめ笹」執筆

30日の深夜から
大風雨が襲来

築地一帯は津波に
襲われ被害が出ます


荷風の住まいである
断腸亭の樹木も
2、3株倒れ くだかれた
との記述が見えます


12月4日
「腕くらべ」の印刷校了

12月5日
「おかめ笹」前半の
草稿を中央公論者に
渡しています



12月31日
外は風があり...
家にこもって
薄田泣菫
(すすきだ きゅうきん)の
『落葉』を読んでいます



この頃  荷風は

かつて愛読した
和洋書巻の批評を
ものしてみたいとの
腹づもりがあり...

漢文では
『入蜀記』『菜根譚』『紅楼夢』『西厠記』『随園詩話』などを再読したいと書いています




そして

翌日の元旦が

冒頭にあるような

「例によって
為すこともなし」と
記されているのです



百舌が始めて鳴いた、とか

赤蜻蛉がとびめぐり
野菊の花さかりとなる

福寿草の芽が
あらわれた、とか
寒月 氷の如し、とか

草木、天候の
記述が多数あり


読んでいて 
うつろう季節を感じます



「断腸亭日乗」の


凝縮された文章の
えもいわれぬ



「おかめ笹」が
こうした日々のなかで
執筆された小説で
あることを


こうして辿ってみて
あらためて知り

嬉しい

ファン心理です






遅ればせながら

皆さま

あけまして
おめでとうございます

本年も
宜しくお願い致します


年末年始の諸事を
返上し
仕事の整理に
追われていました


6日  初仕事

和服を久しぶりに着て
司会をしました


無事終了して

いま 
つぎの公演の準備や
もろもろを
進めているところです


ようやく
ブログがまとまり
アップできます  嬉!





和服を着けたのは
8年ぶりかもしれません
記念に 笑