最近
自分の部屋にある
押入れの戸を
外しました

すっきり広々
書棚に模様がえします



ブロ友の
「チョコフタりん♪」さんは

独身時代
何にもない 押入れの
ふすまを全開にして
二段目に座って 
部屋を眺めていたと
ブログに書いています
(10月16日のブログ)


そんなこんなの
押入れです


それで 思い出すのが

太宰治の「グッド・バイ」


その中に登場する
担ぎ屋(ヤミ商売) の女の
押入れがすごいのです



よろしければ
ひととき
お付き合いください


この作品


文章もストーリーも
おもしろい
軽快なタッチです



ただ
太宰の心中によって

未完


亡くなる直前? まで
書いていた作品


そう考えると


「グッド・バイ」の
タイトルも....
また 現実生活との絡みも
意味深ですが
今日はひとまず
置いときます




主人公は
田島という男


ケチでキザで 
多情(女たらし)
妻子あり

そのくせ
女に対して律儀な一面も
あわせ持つ男


終戦後から数年
世の中が 
ドサクサから
少し落ちついた頃という
設定である


田島は
編集者なのだが
金ほしさに
ヤミ商売
にも手を出している


最近
そろそろ
ヤミ商売から足を洗い
手を広げた女たちとも
別れ


妻子を疎開先から
呼び寄せ
つつましく暮らそうと
いう心境になってきた


さしあたっては
女たちと 
後くされなく
別れたい


しかし
名案が浮かばない


たまたま
葬儀の帰りに 
一緒になった初老の文士に

妙案を提示される


とびっきりの美女を
つかまえ
女房だということにして
女たちのもとを
歴訪し
諦めさせるというもの


かすかな期待をかけて
その線でいこうと思うが


「.... 醜くてすごい女なら、電車の停留場の一区間を歩く度毎に、三十人くらいは発見できるが...」


美人はそういないだろう...
まずは試しと
探してみると


出会うのである


それも二、三度
ヤミの仕事を一緒に
したことのある女
年のころ、25、6

特徴は カラス声
永井キヌ子という女


怪力の持ち主で
日頃は魚くさくて
ドロドロのものを着て
乞食のような
キヌ子であるが... 


この日の彼女は....


「とんでもないシンデレラ姫。...顔は愁いを含んで、梨の花の如く... まさしく高貴、すごい美人」なのである


彼女ならイケルと踏んで
ことの次第を
頼んでみる


それなりの資本を
つぎ込んで
早速、ひとり目を
実行して うまくいく

芝居を打ったあと
田島は
「ほとんど祈るような気持で、相手の女に [グッド・バイ]とささや」くのである



この芝居を打つために
キヌ子に使った金は
半端なく
ケチな田島は
彼女に悪巧みを持って
部屋を訪ねていくが 


逆にギャフンと言わされる


キヌ子と田島の会話は
絶妙!


キヌ子の部屋の様子は...

「ドアをあけて、田島はおどろき、たちすくむ。
乱雑、悪臭。
ああ、荒涼。四畳半。」


キヌ子の服装も
乞食すがた


田島が 洗濯をしたことが
あるかと聞くと 


キヌ子は
「バカにしないでよ。私は、どっちかと言えば、きれいずきなほう」だと答える


「ぼう然」とする田島に
キヌ子は
押入れをあけて見せるの
である


「田島は眼をみはる。
清潔、整然、金色の光を放ち、ふくいくたる香気が発するくらい。タンス、鏡台、トランク、下駄箱の上には、可憐に小さい靴が三足、つまりその押入れこそ、鴉声のシンデレラ姫の、秘密の楽屋であったわけである」


キヌ子の弁
「おしゃれなんか、一週間に一度くらいでたくさん...普段着は、これくらいで、ちょうどいいのよ」


田島がいう
「でも、そのモンペは、ひどすぎる.... 非衛生的だ」
「なぜ?」
「くさい」
「上品ぶったって、ダメよ。あなただって、いつも酒くさいじゃないの。いやな、におい」


と、こんなふうに
やりこめられる


キヌ子に悪さを
しようとしても

逆手に取られるばかり 

こうなったら
キヌ子を最大限に
利用するしかない


小説は、つぎの女への
別れを実施するところ
までで 絶筆!




長くなりました


キヌ子に見透かされている
滑稽で
懲りない男・田島


最後は
ズタズタになりそうな
予感



荒涼とした四畳半の
なかの

押入れは 

キヌ子のの城でした


押入れは
たしかに使いように
よっては....

夢住む場所に
なるのである



           (共同通信 配信記事 2018)




太宰治

津軽生まれ
いつまでも心に残る作家


今年は 没後70年
来年は 生誕110年? 

              
          (東奥日報? デーリー東北?)


皆さま
今日もお訪ね
有難うございました



今日のシメは...

太宰を気取って




諸君、気をつけたまえ
女は魔物である
では  
失敬  (....グッド・バイ)