真昼の人


わたしはいつも
その人のことを
そう 思ってきた


その人のことを思うと
真昼の感じが
するのである


昼の映画館から出て
突然、日差しをあびて
めまいするような

現実世界にもどるには
一杯の紅茶が必要なような

思考も乾くような
真昼


その人に
真昼を感じたのは

その人が
性質的に
乾いている、と
感じられたからかも
しれない


優しく乾いている人 




その人は
長年、暮らした街を
幻想風なエッセーに
まとめたことがある

私が
雑誌の編集者だったころの
こと

スケッチが上手で
記憶にのこる風景を
エッセーに添えて下さった

ある、通りについて
書くとき

実際にいまの風景をみたいと
所望され
一緒に出かけた


歓楽通り

真昼に訪れたが
やはり
飲み屋の入り口に

朝を通りすぎた^_^
酔っ払いがいて


時間が止まっている
ような
そんな通りだった

さびれた感じでは
あったが

色の街を感じさせた






その人は
大正生まれなので

わたしが書物でしか
出会わない方々と
ことばを交わしていて

そのときの
肌合いを語って下さることも
あった

新聞社に勤めていたので
著名な作家や陶芸家、画家が
島に来ると

新聞社が主催する
歓迎の夕べに参加して

踊り子の踊る
舞にも
解説を加えただろう

映画を好み
書物を好み

新聞記者として体験した
戦争を
深く悔やんでいた

(いよいよのとき、鉛活字は
地中に埋められた!)

その人は
拳を振り上げて
反戦を叫ぶタイプでは
なかったので


その意志を深く知るには
その人の語る言葉の流れに
寄り添うように
たどらなければ
ならない




ある日

日常のことを
尋ねてみたことが
あった

奥様を介護しているふうで

キュウリは
水にさらしてから
あげるんですよ、とか

ヨーロッパに行った息子が
向こうから
彼女を連れて
帰ってきたんだが

これが大変な酒豪でね

気がついたら
棚に並べてあった洋酒が
ぜんぶ、カラになって
いたんですよ^_^

これじゃいけないと
息子に言ってね

...そのあと、どうされたかは
はっきり覚えていない
本国に帰したような
話だった気もする


そんなことを
語るにしても

どこか生臭くなく

その人の身体を
通して
濾過されているような
感じがした 



詩人だった

晩年、その人の散文は
詩のように
飛躍した

ことばのリズム?は
詩だった

私は省かれたことばや
分脈を解して
そっと
差し障りがない程度に
繋ぐことがあったけれど

それは
余計なことだったか


その人の
詩の改行は独特だった


ある人のために碑文を
書いたが

それが

彼の文体を
解さない人たちの手によって

縦書きで別な書物に
引用されたとき

私は区切りを修正したけれど

それは、間違ってなかったよね
とふと、書きながら 
思い返している





つい最近のことだが

キュウリを水に晒すのは
カリウムを除去するためで
あることを知った

それに関連する病だったかも
しれない


私が30代頃だったから
そのころ  その人は
60代だったろうか


苗字が
ひらがなで5文字だったが

真ん中の文字を
いつも言いにくそうに
していたことを
思いだす

そのことをいま
思い浮かべたら

その人の声が
はにかむような言い口と
ともに
記憶から浮かんできた

その人の声を
思いだす糸口が
見つかった

(よかった!)




今日のシメは...

そうね...
その人のスケッチを
転載したかったけど
自制して

今年のお年玉年賀ハガキの
切手シート!
財布を整理したら
出てきました

よく見ると
ワンコとニャンコです 
可愛いい💕
どなたの図案でしょう?
検索してみましたが
探せませんでした



今日の花は
庭の、鐘楼臭木
しょうろうくさぎ

散歩の途中に
近くの山から
甘い、懐かしい匂いがして
紫色の
葛(クズ)の花のような香りに
誘われて、主を発見!

小さな根をいただいて
植えました


皆さま
今日もお訪ねいただき
ありがとうございました

台風余波で
あまり暑くなく
過ごしています
クーラーなしです

皆さまのところ
お気をつけ下さいませ


被災地の方々
ボランティアの方々
大丈夫でありますように


困っている方のもとに
早く、たくさんの方の善意が
届くことを心から願います

岡山県総社市の片岡市長さん
ペットも家族だからと
一緒に避難できる場所を
作ってくださいました
有難いことですね