電話リレーサービスの不都合 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

聞こえない人は電話ができない。その電話をとりついでくれるのが、電話リレーサービス。それまで聞こえない人は電話ができなかったのが、電話ができるようになるシステムである。

 

当院は、診療所の医師である。この電話リレーサービスで電話がかかってくると、面倒でしかたない。その理由は二つある。

 

一つは、手話通訳などをしてくる人が、専門知識があまりにもないこと。聞こえない本人のほうがよくわかっていても、通訳を担当する人が医療知識があまりにもない。このため、通訳に時間がかかってしかたないのだ。

 

ただでさえ、受付事務員が電話対応に時間がとられる。このため、受診してきた患者さんの診療がまったく進まない。待合室にいる患者からはクレームがくる。電話は一方的な圧力である。こちらが混んでいるかどうかなど関係なく、受付でどれだけの人が待っていようが、平気で割り込んでくる。もちろん、患者からの緊急受診依頼の場合もあるから、無下に電話にでないというわけにはいかない。だから、とりあえず電話にでて対応する。その結果がたいした内容ではないのだ。こんなことを繰り返していると、時間の無駄だとばかりに電話にでなくなってしまう。たとえば、「本日診療していますか?」というような質問なら、答えるのはすぐである。しかし、「私は、こういう症状があるのですが、みてくれますか?」とさんざん自分の症状を説明しはじめる。これを手話通訳を介すると何倍も時間がかかる。はっきり言って、こんなのに対応していたら、受診してくる患者の対応はできない。だから、すぐに切りたくなる。

 

二つ目は、電話に慣れていない聞こえない人だからやっかいなのだ。今は、聞こえる人は電話をかけなくてすむものはかけないようになっている。診療時間も、休診のお知らせも、ネットをみれば公表されている。それを見たうえでわからないからと電話をかけてくるのならばいい。しかし、休診のお知らせをあげていても、「今日診療していますか?」という電話をすぐにかけはじめる。スマホが普及してから、すぐに電話をかけてくる人が激増して、電話対応がやたらと大変になってきている。聞こえない人には申し訳ないが、日本全体が電話をかけまくり、業務を邪魔しているかのような状態なのだ。このような状況で、通訳を介さないと答えられない電話の対応ははっきりいって、行いたくはない。

 

つまり、電話問い合わせの前に、医療機関にきて相談してほしい。安易に電話で聞くな。これが医療機関の本音である。

 

当院の場合には、ファックス番号も公表しているしホームページを見れば診療状況も公表している。また、メールでも問い合わせができる。音声情報以外にも、情報をとれる方法はいくらでもある。まずは、そのような方法で情報を取得してもらって、それでもわからなければ問い合わせをしてほしいのだ。安易に「今日やっていますか?」というような、問い合わせを電話で聞かないでほしい。一つの問い合わせが1分で終わることはまずない。一度電話を受けると10分ぐらいかかってしまう。その10分間、目の前の受付の患者は待たされてしまうし、そんなこと電話をかけてくる人にはまったくわかっていないのだ。

 

僕なんかは、やるべきことはやっているので、このような批判を公然と行う。しかし、多くの医療機関は、「障害のある人に文句を言ってはいけない」と思い込んでいるから、ただひたすら黙っているしかないのだ。その究極は、「聞こえない人は面倒だから診ない。電話リレーサービスからの電話は、無駄だからすぐに切ってしまう。」ということになるのだ。

 

イメージが悪くなるから、理由はなにもいわずに、診察拒否するという方法が世の中の普通であろう。

 

医療機関はこんな事情はみんなわかっていても、障害者側は「障害者であっても人間なので、診療拒否はとんでもない」という正論しか言ってこない。障害者サイドの主張はあるし、医療者側の主張もある。それは双方が話し合って妥協点をみいだすべきだが、障害者側は自分の意見しか認めようとはしない。それが現実なのだ。