生徒のAちゃん
初めてお会いした時のAちゃんは別のお教室に在籍されていました
親御さんとしてはお子さんの心情や選択は優先しつつも、在籍中のお教室から出来るだけ早く当教室に移動されたいという焦りがあったそうです
在籍されているお教室を退会された後の体験レッスンでしたら何も問題はありませんでしたが、やはりその当時のお教室の先生に対して失礼にあたるので、「Wレッスンは避けて下さいね。」と先ずは親御さんにお願いをさせて頂きました
親御さんの焦る理由ですが(例えそこでお話の聴き取りが無かったとしても)その当時Aちゃんがお教室で使われていたテキストを拝見しましたが…一瞬でその課題が把握できました
Aちゃんは『分からないことが分かっていない状態』で←ゴメンね、Aちゃん(^_^;)これは大変大変失礼な表現になってしまいますが、実は先生もAちゃんの課題の根本に気づかれていないと感じました
上から目線のような表現で大変大変申し訳ございません
これはあくまで例えですが、A社のバイエル上巻→断念→B社のバイエル上巻→断念といった状態を繰り返している状態でした
この状況をながらく見守り、ご家庭でのAちゃんの練習の際はマンツーマンで寄り添われていたという親御さん
いろいろと思うこともあったそうで、先生にご相談やリクエストを何度もされたそうですが、お母様曰く「Aの頑張りが不足していることも原因ですが、相談直後は先生も対応をしてくださるけれど…」と
私は先方の先生に失礼がないよう言葉を選びながらも親御さんに今後のことをアドバイスさせて頂き、「最後はお子さんの判断に任せましょう。」ということにしました
レッスンを受けるのはあくまでもお子さんですから、突然会った講師が生徒さんと現先生を引き離すことは絶対にしたくなかったですし、何より現在の先生に対して大変失礼にあたるので(私がその先生の立場だったらショックを受けると思いますし)そこは避けたいと思っていました
Aちゃんと親御さんは話し合われて在籍されていたお教室でのレッスン継続を一旦決められましたが、結果としてあまり時間を置かずしてそちらのお教室を退会され、当教室にご入会されました
当教室でのレッスンスタートに際し、私からAちゃんには次のようなお話をしました
「これまで色んなテキストを使ってレッスンを受けてきたと思うんだけど、先生が今のAちゃんにとって必要だと思うテキストはこの中でこの2冊です。(因みに聴音•ソルフェージュ系のテキストと、ピアノの導入期に使用されるシリーズもののテキストを1から再使用することにしました)
ずいぶん前に使っていたテキストだし、中には途中でストップしているテキストもあるよね?
でもこのテキストは『自分の力で音が読めるようになることの大切さ』が詰まっているの。
もしかするとAちゃんは「こんなの簡単!」と思うかもしれないし、「今更小さな子たちが使うテキストに戻るなんて!」と思うかもしれないけれど、でも基本に戻ることはとても大事なことなんだよ♪
基本に戻って分かることが増えると困ることが消えて楽しくなるでしょ?
きっとお母さんの力を借りなくてもAちゃん1人の力でピアノを楽しめるようになるよ♪
だから先生はAちゃんに『分かる!楽しい!』をたくさん伝えたいから、先生はこのテキストに戻ってレッスンをしたいけれど良いかな?」
Aちゃんは元気よく「はい!大丈夫です!」と答えてくれました
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現在のAちゃんですが、自分のペースで理解を深め、着実に力をつけています!
ソルフェージュのテキストは無事に卒業し、新たなソルフェージュテキストに入りました
シリーズもののテキストを使ったレッスンでは一から学び直し、今は“途中でストップして終わったことになっていた巻”の終盤に入り、初見演奏ができる力もついてきました♪
以前のお教室でのレッスンで使用されていたページと途中からストップしていたページ(現在使用中のページ)の見た目の違いは大きく、それは何かというと音名の書き込みがないこと
つまりそれはAちゃんに読譜力がついてきたから
その中でAちゃんは過去の自分と今の自分の変化に気づいてくれました
過去にAちゃんが弾いていた曲(以前のお教室ではレッスン済みとなっていた曲)のおさらいレッスンで、過去にAちゃんが楽譜に書き込みをしていた音名がほぼ間違っていたのです(^_^;)
読譜が不安定だから書き込んだはずの音名が間違っている
そのことに自ら気づいて「なぜこんなに間違ったことを書いていたんだろう?」と苦笑いしていたAちゃん
「それはね、Aちゃんに音読みの力がついてきたからだよ!
Aちゃんが昔使ったテキストを嫌がらずにもう1度お勉強をしよう!と思ってくれたから分かることが増えたんだよ!分かることが増えたから練習やレッスンが辛くないし、Aちゃんが頑張ってきたから“間違いに気づく力”が身についたんだよ!
間違いに気づくことってAちゃんがちゃんと成長しているよ♪っていう証なんだよ!」と伝えました
Aちゃんはとても嬉しそうな表情をしていました
これは昨年のYouTube発表会に向けたレッスンの中でお母様からお聞きして知ったことですが
「(前のお教室では)発表会に向けた練習の際、『お母さんが教えないとお子さんは弾けませんよ。』と言われていたのでお教室を移動してからも、前のお教室での“ならわし”が染み付いてしまっていて、なつみ先生から頂いたAの発表会の曲(楽譜)を私が弾いて教えなきゃ!ととても焦っていましたが、先生が『お母様が練習に寄り添ってくださる事はとてもありがたいことですが、Aちゃんは1人でも楽譜が読めるようになっているからちゃんと1人の力でも練習できますよ!』とアドバイスを受けて物凄くホッとしました。
そうですよね。
親が何もかも教えなくちゃいけない…じゃないですよね!」と
私は前のお教室の先生の指導方針を否定しているのではなく、これは自分自身にも肝に銘じていることなのですが
課題の本質に
目を向けること
必要ならば
戻ることも恐れない
課題は過去に残されたモノの中に潜んでいることが多いですし、そこにスポットを当てなければこれから先も引きずってしまいます
だから戻ることを恐れてはいけない
分からないこと
忘れてしまったこと
知らなかったこと
あやふやにしていたこと
不安なこと
それらを未解決にして過去に置いたままにしておくと
「どうせ分からない」「どうせ出来ない」「分からない・出来ないから練習が面倒臭い」という本人の苦手意識に繋がりますし、実際にその点をフォローする意味でも
・音名を書き込まないと弾けない
・ドから数えないと音読みできない
・鍵盤もドから数えないと音の位置が分からない
・誰かが側にいて教えないと弾けない
という状況に陥ります
テキスト選びは勿論大切ですがそれはレッスン前の準備の中での最終工程であって、1番大切なことは指導者がその子の課題(表出と根幹の両サイドから見る)を読み取り、どういう引き出しを使ってレッスンを行うのか?
つまりどんなに素晴らしいテキストや分かり易いテキストを使ったとしても、生徒さんの状況を踏まえた上で「何を身につけて力にしてあげたいか?」という指導者の観察眼と軸がないと、結果的に同じ壁にぶつかって同じことを繰り返してしまうのです
その中で基本に戻ることが必要ならばそれを恐れず、焦らず、じっくりと腰を据えた取り組みを考え、そこからようやく生徒さんに合ったテキスト選びが始まると思います
戻ることも場合によっては挑戦ですしトータルで見れば前進とも言えます
その大切さを教えてくれたのは…実は支援の必要な生徒さんたちとのレッスン
彼らが私に与えてくれることは、支援の必要性がない子たちにも(場合によっては大人にも)繋がる課題なんです
年齢と不釣り合い?
幼すぎることをさせている?
そんな見た目や目先のことよりも足場固めをキチンと行う
基礎作りが疎かになると先々で困るのは生徒さんです(家造りと同じ)
これはある意味『感覚統合理論』から得た学びでもあり、全ての生徒さんへの指導に通じる考え方です
いつか生徒さんたちは私のもとから巣立っていきます
1人でも音楽を楽しめるように
1人でもピアノを楽しめるように
その楽しむ姿や演奏が誰かを幸せにしてくれるならば尚更素晴らしいこと♪
だからこそ課題の本質に目を向けなくてはいけないし、決して避けてはいけない
そう思います
