ある日のこと
“休日になりそでならないドタバタ休日”のある中日、諸事情もあって日程調整をさせて頂いたところ、全くの予定外でぽっかりと丸一日オフの日が出来ると判明!
レッスン&作業優先で断念していたとある演劇作品の『当日券発売!』というアナウンスが急遽流れ、「ダメ元でいっちょ狙ってみるか!」と、“己の運命”に任せてぽっかりと空いたお休みの日の朝にチケ取りを決断!
前売りが秒殺で完売したという作品
ハズレも承知で当日券をこれまた秒殺で狙ったところ(本当に超人気作品のチケットは秒単位での争奪戦!)
う、う、嘘ーーー!?
と、と、と、
取れたーー!!!(◎_◎;)
それも当日券なのになぜか4列目!!!(◎_◎;)
この作品を観なかったら観なかったで“ただの知らない世界”だし、生きていく上で特別な支障もきっとないけれど、観劇の後に湧き上がる「観なかったら一生後悔しただろうなぁ。」という確信に(少し大げさかもしれないけれど)そういった運命・タイミングの様なモノを痛感しました
なぜそこまで私が感じたのかと言えば、ストーリーのベースとなっている“ロミジュリ”の「翻弄される恋人たちの運命」と「貫く運命」、なんと情けなく、哀れで、醜く、小さな不条理の種から発展する「争いを生み出す人たちの運命」と、「そこに巻き込まれてしまった人々たちの運命」、不毛の地で名もなき者たちと勝手にされてしまった“名前のあった人達”=忘れてはいけない人たちにもある「運命」に触れてしまったから
なんびとたりとて抱える「その人の運命」と、ジワジワとヒリヒリと少しずつ真綿で首を締める様な“人間が作り出す闇”を観せながら、最後には表現できない溢れ出る多幸感が全身を包み(変な表現ですが西洋思想と東洋思想が溶け合うかの様な)「希望」をそっと残してくれた
そして「いつの時代もなにかの不穏な影に隠れてしまい、無き者となってしまった人たち・土の中に眠る人たちの存在と運命を決して忘れてくれるな!」という静かな叫びと重み
特に後半は非常に重い内容故、ストーリーの前半と後半の色合いの違いに衝撃が走りました
これ、混沌さを増していく今…そう!絶対に今じゃないといけない(今、上演しなくてはいけない)作品だと思いました
役者さんたちの演技…本当に素晴らしかった!
改めて“登場人物を生き通すお役目の人”という意味で、俳優という職業は神職かもしれないと思ってしまうほど、俳優陣の演技力の素晴らしさにただただ感服
この作品で初舞台を踏んだ広瀬すずちゃん
瑞々しくて伸びやかで、なんて繊細な演技が出来る女優さんなのだろうかと、この人の舞台女優としてのポテンシャルの高さに驚愕(100%舞台向き!!!)
そしてなんと言っても松たか子さんの神がかった演技を目の当たりにして(余りにも目の前で拝見出来てビックリ!)震えが止まりませんでした
なんて振り幅が広くて深くて、色彩豊かな演技をされる女優さんなのだろうかと胸を撃ち抜かれました!
松さんの演技は昔から大好きだったのですが、生で観てこんなにも凄いとは!
本当に凄い!本当に上手い!
正真正銘、冗談でなく、役を憑依させたイタコ!(本当に冗談ではなくて)
川上隆也さんも素晴らしかった!
ユーモアと真摯を貫く演技、そして苦悩と深い深い愛を抱えながらの演技…人間味溢れる豊かな演技に脱帽!
志尊淳さんも天晴れと言わんばかりの動きと感情の躍動感がフレッシュで眩しくて、竹中直人さん、羽野晶紀さん、橋本さとしさん、小松和重さん、伊勢佳世さん、そしてそして野田秀樹さんにアンサンブルの皆さん…本当に素晴らしかった!
この作品に携わる役者さん達は、役と日常の切り替えにさぞや時間を要するだろうと…その点1つをとっても役者さんのお仕事は神職であると思いました
舞台美術も実に興味深く、道具の使い方に新鮮な驚きとアイデアを感じ、なんとも言えない美しさと儚さが上手く表現されていました(役者さん達が神職ならば、裏方さん方は宮大工さんや仏具師さんと言ったところでしょうか)
そして…なんと言ってもクイーンの音楽がやっぱり素晴らしかった(T_T)
クイーンサイドからのオファーで始まったというこの信じられない企画
この企画を作・演出(そして演者)の野田秀樹さんがまさかの変化球で返してきたことも(クイーンの作品をこうやって理解しながら使ったのか!という)、何もかもが神懸かり的な気がしてなりませんでした(クイーンの楽曲からすれば『‘39』がこの作品の全体的なテーマかな?)
作品のテーマ、要素、日本をベースにしながらも無国籍感がそこはかとなく漂う面白さや、平安末期を軸にふと近代に飛ぶような演出も有り、舞台装置、衣装にメイク、役者の演技、音楽…実は1つ1つ異素材を集めたミクスチャーの塊なのに、どうしてこうも野田さんが伝えようとするメッセージはシンプルで伝わりやすいのか?
その全ての素材を違和感なく繋ぎ合わせられるのは、やはり野田さんの持つ言葉の力だった、という事と、それを髄に入れ込んで伝道する役者陣のプロ意識に尽きると強く思いました
なんて苦しくて切なくて愛おしい作品なのでしょう
あの純白の大きな布が何度も風を受けて美しくなびき、時に運命に飲み込まれるそのモノを表し、そして人々を優しく優しく包みこむマリアベールにも感じ…
私は多分、あの光景を一生忘れないだろうなぁ…

