実にいい曲である。
20代の頃、ピアノを弾きながら、この曲を何度歌っただろうか。
既に有名ミュージシャンであったJoe Walsh(ジョー・ウォルシュ)が、
イーグルスに加入して、初めてのお目見え(リードボーカル)となったのがこの曲。
「Pretty Maids All In A Row」とは、
マザー・グースの中の「メリーさんの羊」に出てくる一節というが、
このタイトルにどれだけその1節の意味が込められているのかは解らない。
直截的に訳せば、「一列に並んだ綺麗な少女たち」とでもなるのか。
昔の友達同士の集まりでもあったのだろうか。
主人公は、昔の仲間に久しぶりに出会い、嘯いている。
(詩の一部を意訳すると)
"おい、元気だった?"
"俺たち、随分と長い道を歩んだかのようだな"
"そして、物事を覚えるのがすごく遅いな"
"なんで俺たち、そんなに早く大人にならないといけないのだろう"(一部のみ抜粋)
書いていて、はじめて気付いたのだが、
これはジョー・ウォルシュが、イーグルスのグレン・フライやドン・ヘンリーに対して
感じた言葉を詩にしたのではないのだろうか!
(歌ってた時は、そんなことは何も考えなかったな)
そう、ジョーはこの曲を発表することになったアルバム「Hotel California」で、
晴れてイーグルスに正式に参加することになるのだが、彼らは元々の馴染みであり、
古い友人同士であった。
そして、既に有名なアーティストになっていたジョー。
久しぶりにグレンやドンに邂逅し、そしてイーグルスに誘われた。
その時、若かりし昔の事を反芻しながら感じたこと、それをジョーは綴ったのではないだろうか?
私が「物事を覚えるのがすごく遅いな(My,but we learn so slow)」と意訳した部分は、
「今からバンドに入るの? なんだ、知り合ったあの頃にバンド組んでりゃ良かったな」
というような事なのではないか。
しかし、「Pretty Maids All In A Row」という歌詞の意味は未だによく解らない。
幼き日々に見た、朝礼(アメリカにもあるのか?)で並んでいた同級生の女の子たちの
風景の事なのだろうか。
それとも、一列に並んで歌うあのイーグルス独特のステージ姿の事を指しているのだろうか?
いや、マザーグースの一節とすると、もっと深い意味合いがあるようだ。
しかし、それは永遠の謎としておいてもいいだろう。
発表した当時、ジョー・ウォルシュはまだ30歳にもなっていない。
それを考えると、随分としみじみとした曲だが、曲調と詩が醸している空気感が見事にシンクロし、
そこはかとない情感を伝えてくる。
味のある歌声、という形容が最も相応しいジョーのリードボーカル。
そして、昔の仲間であり、今、新たなバンド仲間となったイーグルスの面々と合わせる、
ラストのフォー・パート・コーラスは特に聴きもの。
青春のほろ苦い、光と影。
建国200周年で湧きかえっていた、当時のアメリカ。
虚勢と疲弊、そしてその残照。
名曲である。
第13回「I'm Not In Love」(1975)/10CC
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