わが甥謙信君(4歳)は
近頃空手を習い始めたそうで。
それは是非、型の一つも
見せていただかないと
帰国した意味がないじゃない!
「謙信君、じゃあ突きとか見せてよ。
蹴りでもいいんだけど。前蹴りとか」
最初は少し照れて
もじもじしていた謙信君でしたが
わが妹(謙信母)がびしっとした声で
「では正拳突きから!」
と号令をかけると
突然顔をきりりと引き締め
「イチ!ニ!サン!」
と元気よく数を数えながら
びしびし拳を前に突き出す、
この健気な可愛らしさを
私はどう形容したらいいものか!
実は夫(英国人)も過去に
1年ほどカラテを習った経験があり
「デハ謙信センセイ!
カラーテノ、レッスン、オネガイシマス!」
謙信君は我に返るとまた照れ出して
「えー、でもお・・・」
そこでわが妹がまた腹から出る声で
「では次!上段!」
再び腰を落として
顔から羞恥と笑顔を消す謙信君。
面白いなあ、掛け声一つで
スイッチが入るんだなあ、君。
謙信君を見習って
同じく腰を落として構えを取って
真面目な表情をする夫。
それならば、とここからは私が
号令係を引き受けて
「ではカウントは英語で!ワン!」
謙信君と夫が声を揃えて
「わん!」
よし、二人ともいい突きだ!
「ツー!」
「とぅー!」
カウントが8までいったところで
「はい、終了!ありがとう!」
と私が声をかけると、
謙信君は構えをときつつ俯いて
はにかみながら小さな声で
「僕ね、でもね、8回じゃなくて、
突きはね、10回できたんだよ」
「え!そうなの!ごめんね」
「うん、あとね、僕ね、英語で
もっとたくさん数を数えられるんだよ」
「え!そうなの?
8よりもたくさん?」
「10よりもたくさんだよ!
10の次はイレヴン!」
オオウ、いい発音。
4歳児の矜持に胸を震わす
中年伯母なのでありました。
謙信君の突きが妙に様になっていたのは
あれは伯母の欲目か
それとも指導してくださっている
先生の腕がよいのか
でもどうしよう将来あの子が
ビール瓶とか粉砕する
拳の持ち主になっちゃったら
ええ、実は期待しちゃっています
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