近所の広場に先日

巨大な鉄製の三脚のようなものが

組み立てられまして、

あれはいったい何だろう、

と気になってはいたのです。


数日後、その広場の横を通ったら

巨大三脚の下で若いお兄さんが二人

泥まみれになって作業をなさっておりまして、

ほほう、三脚の中心にカゴのようなものが

吊るされている、ドリルのようなものも見える、

となるとこれは地面を掘り返すための機械なのか、

地質調査とかそういうやつか?

しかしこのお兄さん二人、絵に描いたような

ハンサム肉体労働者系マッチョ』だなあ、

上腕筋も腹筋もたいしたものだ、

しかもそれを無造作に泥色の作業着の

下に隠しているあたりが素晴らしい、と

ここまで考えてふと道の反対側に目をやると

そこにある一軒のコーヒーショップの

窓に面した椅子に妙齢のお嬢様方が

鈴なり状態になってこちらを眺めていたのでした。


店内の湿度はたぶん相当

高かったろうと思います、

お嬢さんたちの涎のせいで。


スコットランドひきこもり日記-意味なくアヒル


「あれはな、あの二人はな、道具箱の隣に

『よろしければお名刺下さい』ってメモを貼った

小さな箱を置いておいたら、きっと

今日一日でかなりの量の女性の

電話番号を手に入れられたと思うぜ」


「ふーん」


「やはり男性美の究極は機能美、

それも無造作な機能美だよな。

つまりさ、あの二人は

『肉体的に美しいと思われたい』から

あんな体を作ったわけじゃないだろ、

仕事に必要な体を作り込んだら

ああなっただけだろ、すごいよな!

それに比べると世間で一般的に

女性美とされるものは

根本が弱いと思わないか?


「へーえ」


「・・・なあ、念のため言っておくが、

彼らが『名刺箱』を設置しても

私はそんなもの利用しないからな」


「いや、それはいいんですけど」

言いながら夫は私のほうに顔を向け直すと

「とにかく君は、その若者二人が

素晴らしい筋肉に満ちた肉体

手にしているがゆえに女性に人気がある、

といいたいんですね」


「・・・そう言われてしまうとまるで私が

肉体主義者のようだが、まあそうだ、

今回のこの場合に限ってはその通りだ」


「そこで僕に質問があるのですが」


「はあ、どうぞ」


「僕って若い頃、一時、肉体労働に

従事していたじゃないですか。

その頃の写真を見てもらえばわかりますけど

当時の僕って今よりも胸は厚いし腕は太いし

なかなかいい筋肉の持ち主だったんですよ」


「うん、腰から膝にかけてのあの線とかな、

特筆に値すべき美しさだったと私も思うぜ、

君は肉体的に美しい若造だったよ、明らかに」


「なのにあの頃の僕って

女性に非常に不人気だったんですけど、

あれは何がいけなかったのでしょうか」


ああ・・・


質問ってそういう質問・・・?


「僕はちゃんと作業着を着て

筋肉を見せびらかすようなことも

しなかったですし

仕事もちゃんとやっていましたよ、

でも女の子から電話番号を

もらえたことなんて

一度もなかったんですけど」


えーと・・・それは・・・


「時には泥まみれに

なることだってありましたし、

でもちゃんとお風呂には入っていたから

清潔感もあったと思うんです、でも・・・」


「ああ、そういえば、夫よ!」


「何ですか?」


「この間のバッキンガム宮殿での

女王陛下ご即位60周年記念コンサート

トリを飾ったポール・マッカートニーだけどさ、

彼の演奏について正直どう思った?」


「・・・」


「私は何故だかちょっとがっかりしたんだよね、

でも自分でもその理由がよくわからないの、

これはあれかね、期待値が高すぎたってやつかね?」


「そこまで話を誤魔化さなくちゃいけないほど

答えにくい質問を僕はしたということですか?」


違うよ夫、答えは一つ

『当時君の周りにいた女どもは

全員見る目ナシの馬鹿の集まり』、

そういうことだよ!

でもそんな、見ず知らずの

異国の娘さんたちを

突然悪しざまに罵ることも

理性ある大人としては難しいだろ?


と、とにかく私は君は

素敵な美しい筋肉の

持ち主だったと思っているから!


だから大丈夫!



ちなみに夫は記念コンサートにおける

エルトン・ジョン氏の

『歌い方』が気に食わなかったらしいです


「マイクに口を近づけすぎている、

なんかあのスタイルが嫌なんです」


私は彼の演奏は

悪くなかったと思うのですが、

人の感性とは千差万別ですな

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