夫(英国人)の実家に帰省しました。
暇だったので義父に
「日本の昔話を教えてあげたら
その内容が気に入らなかったらしく、
夫が怒ってその後2時間
私と口をきいてくれなくなったんですよ」
(詳細は昨日の記事 をご参照ください)
と告げ口をしてみました。
私の一方的な主張を聞いた義父は
「・・・息子よ。どんな話を
聞かされたのかは知らんが、
妻に対して無言になるというのは
いかなる理由があっても
褒められた態度ではないぞ」
「父さんだってあの話を聞いたら
僕の気持ちがわかりますよ!
彼女の今の話に嘘はありませんが、
事実の肝心な部分が隠匿されています!
その『お話』の内容を確かめてください!」
義父は私のほうを振り返り
「その『昔話』というのは
どんなお話だったのかね?」
「日本に古くから伝わる
まあいわゆる『怖い話』です、
民間伝承のひとつですね」
「つまり私の息子は『怖い話』に怯えて
君に対して悪い態度を取ったというのか」
「まあそういうことです、残念です」
私のしおらしい態度に
義父は再び夫に向き直り
「息子よ。この腰抜けが。
怖い話の一つや二つで
お前はいったい何をやっているのだ」
「妻!自分の配偶者が
こんなことを言われていて
君は何も感じないんですか!
父にもあの話を聞かせてやってください!
父さん、言っておくけどね、
彼女のこのホラー・ストーリーは
ホラーを超えたホラーだからね!」
「何がホラーを超えたホラーだ。
所詮昔話だろう、私は構わないぞ、
わが義理の娘よ、そのお話を
私にも聞かせてもらえるか」
ええ、喜んで!と私は例の
『地獄に呑まれた話』を再び披露。
英語でこの話をするのが
二度目であったせいか
われながら素晴らしい語りぶりでした。
特にあの水にはまった父親が
幸せそうにニヤニヤしている場面とか
恐るべき臨場感があったと自賛できます。
(『地獄に呑まれた話』について
詳細をお知りになりたい方は
昨日の記事 をご覧ください)
「・・・というわけで、以来その地は
『地獄谷(the Valley of Hell)』と
呼ばれるようになったのです・・・!」
月影先生も真っ青の凄みを利かせ
話の幕を下ろしたのですが
気がつくと義父は
ソファの上で硬直しておりまして。
「あ、お義父様、
これでお話はおしまいです」
「・・・あ・・・そうか、ふむ・・・」
「もしかして私の英語のせいで
オチがうまく伝わらなかったりしましたか」
「いや!・・・君の英語は素晴らしい、
むしろ素晴らしすぎるというか・・・」
「あ、怖かったですか?」
「怖い・・・というのとは少し違うのだが・・・」
「でもあれでしょう、
一つのお話として考えると
これは本当によくできた
ホラー・ストーリーでしょう?」
「ホラー・ストーリー・・・
うん、まあ、これはホラーだな・・・」
そこで電話がチリリと鳴りまして。
受話器をとった義父は
「もしもし・・・おっ!わが娘か!
ちょうどよかった、あのな、今な、
お前の義理のお姉さん、
つまりわが義理の娘が、
ひどい(horrible、ホリブル)話を披露して
わが家の団欒を台無しにしてくれたところだ!」
「お義父様、そんな、ホリブルなんて!
『ホラー』の間違いでしょ!」
「お前の義理の姉は
あれはホリブルじゃなくホラーだと
言い張っておるが、
そんなチャチなものでは断じてない!
私は今晩間違いなく悪夢を見る!」
というわけでわが怪談は
義父にもえらく不評だったのでした。
・・・そんなにひどい話ですかね、あれ。
じゃあお口直しに、と
『耳なし芳一』と『雪女』の話を
義父にお聞かせしようとしたら
夫に止められました
『雪女』なんて
日本国民全員に愛されている
お話だと私は思うんですけど
そう主張すると夫は真剣な顔で
「それ、僕以外の外国人には
言わないほうがいいですよ、
日本国民が誤解されます」
何だよ!英国人だって
幽霊好きで有名なくせに!
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