と、いうわけで、
年末年始は気合を入れて
祖父(東京在住95歳)と
仲良くしまくった私です。
まあ流石の祖父も
寄る年波には勝てないというか
そりゃ半年前に比べたら
体も弱ってきてはいるのですが、
お達者な部分は
まだまだお達者でございまして。
「お前、飛行機に乗ったら
生活が大変だろう。
小遣いやるから、取っとけ」
「・・・お祖父様、
どこから反論していいのか
もはや見当もつきませんが、
私はそこまで
お金に困っているわけでは
ないのです、
お小遣いなどいりません」
「いいから受け取っておけ」
「いりません」
「でもお前、実は貧しいんだろう」
「貧しくありません。わが夫が
毎日朝から晩まで額に汗して
お金を稼いでくれております」
「でもその夫の稼ぎもあれだろ、
結局たいしたことないんだろ」
「失礼千万!わが配偶者を
馬鹿にするのも
いい加減にしていただきたい!」
「・・・いや、そうじゃなく・・・
あれだろ?不況とやらで
株価も下がっているんだろ?」
「お祖父様、だから大丈夫です、
わが夫にはそれなりに
利殖の才があるんですから!」
「・・・でもな、やっぱりそういうときに
あいつの金を使わせちゃうのは悪いから。
飛行機代だけ受け取っておけ。
ところで日本とエゲレスの往復で
だいたい今、
いくらくらいかかるもんなんだ?」
「お祖父様、そんなこと言うなら
私はもう東京に帰ってきませんよ!」
ちなみにこのたびの帰国では、
私はこれまでに貯めたマイレージで
航空券を手に入れることができたのです。
「だからお祖父様、私は今回実質タダで
飛行機に乗ったようなものなんですよ。
交通費を心配していただく理由はありません」
「・・・じゃあ、今度お前が
帰って来る時のぶんの飛行機代を
前渡ししておく!で、次の帰国はいつだ?」
「お祖父様、気が早すぎます!」
「気が早いなんてことはない、
ノロノロしていては駄目だ、
そういう大事なことは
さっささっさと先に決めておけ!
・・・2月とかどうだ?」
「2月なんて来月じゃないですか!
それに次回の飛行機代には
本来今回の帰国に使うつもりだったお金が
ちゃんとそれは銀行口座にあるんですから、
だから本当にお小遣いなんていりません」
「・・・そんなこと言ってお前
本当はもう帰ってこないつもりだろう」
「どうしてそうなるんですか!」
「帰ってくるなら飛行機代を・・・」
「しつこい!」
「お前はどうしてそう
人の好意を踏みにじるんだ!」
「そんなことしてくれなくても
私はちゃんと帰ってくるという話です!」
「こういうのはなあ、やる、と言われたら
にっこり笑って受け取るのが礼儀だぞ!」
「お祖父様のそういう態度が
私を三文安の人間に育て上げたんですよ!」
「・・・お前、本当に帰ってこないつもりだろう」
「だから帰ってきますって!」
あまりの堂々巡りに
これでは埒が明かないと判断した私は
譲歩案を提示しました。
「わかりました、じゃあこれでどうです。
いずれにせよ私は年内に
絶対にもう一度帰ってきますから、
でも、そのときの飛行機代は
自分でちゃんとまかないますから。
ただもしもその後、さらにもう一回
日本に戻って来られることになったら、
そのときにお小遣いをください。
ください、とかお願いしちゃうのも
いい大人としてどうかとは思いますが。
だからその代わりに、今回と
そして次回とに、お小遣いはなし、です。
これでいかがですか」
「・・・なんだお前・・・
じゃあ俺がお前に金をやれるのは
次の次にお前が戻ってきたときなのか?」
「そうです」
「次も駄目なのか?」
「駄目です」
「でもなあ、お前・・・次はともかくなあ
・・・次の次なんて、
俺は写真になっているかもしれんぞ」
そういう切れ味の鋭すぎる
高齢者ジョークは
本当にいい加減にしてもらえませんかね!
こっちの心臓と血圧に悪いですから!
どこをどう逆さに振ったら
『写真になる』なんて言い回しが出てくるのか
祖父の底知れぬボキャブラリーに
慄然とした年明けでございました
私もあんな年寄りになりたいものです
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