
🔰第1回:「“そうなんだね”の力」
〜子どもの話を、ただ受け止めるということ〜

🟡はじめに
「聞く」って、何をすればいいんだろう?
そう思ったとき、わたしが最初に意識したのは、「そうなんだね」と受け止めることでした。
アドバイスも、問いかけも、共感もいらない。ただ、話をそのまま受け止める。
それだけで、子どもとの関係が変わり始めたんです。
🟢「そうなんだね」と言ってみたら(学童保育の実例)
ある男の子が泣いていて、とても怒っていたんです。そばに行って「どうした?」と声をかけても、何も言ってくれません。そこで、みんなのいない場所にそっと移動して、しばらく黙ってそばにいることにしました。
泣き声も怒りも、少しずつ静まってきた頃。
さと「どうした?」
男子「だって、〇〇ちゃんが押してきて、そのせいで絵本バックが汚れた。」
さと「そうなんだね。」
そのひと言で、彼の表情が少しやわらいだように見えました。そのあと、悔しかった気持ちをぽつぽつと話してくれたんです。
男子「だって、汚れたもん。もうイヤだ!…もう!…イヤだし!…」
さと「わかったよ。教えてくれてありがとう。その子には伝えておくからね。」
周りの話も聞いてみると、どうやら押したわけではなく、ぶつかっただけだったようでした。
そこで、〇〇ちゃんにも声をかけました。
さと「押されたと思ったんだって。それで絵本バックが落ちたんだ。」
〇〇ちゃん「わかった…」
男の子はその様子を少し離れたところから見ていました。謝ってもらったわけじゃないけれど、なんとなく気持ちが落ち着いたようで、ランドセルを片づけて、着替えを始めていたんです。
さと「絵本バックは、乾かしとくから。帰りに忘れんでね。」
男子「うん!」
🟣「ただ言いたかっただけ」の気持ちを受け止める
ある日、女の子が帰ってきて、同級生にされた嫌なことを話そうとしたとき、周りの大人にこう言われたそうです。
「あなたにも悪いところがあったんじゃないの?」
その瞬間、彼女は「もういい!」と怒って、わたしのところに来て、あらためて話し始めました。
女子「〇〇ちゃんがね、悪口言ってきて、すごいむかつく!」
さと「そうなんだね」
女子「そう!ほんとに」
さと「そうか、怒ってるんだ」
女子「そう、怒ってるの」
さと「そうなんだね」
女子「うん」
それで終わったんです。
子どもは、ただただ言いたかった。それを聞いてほしかったんだなって、思いました。
でも、つい大人は“解決”しようとしてしまう。原因を探したくなるし、正しさを持ち出したくなる。
でも「聞く」は、そういう反応を手放して、ただ受け止めること。それだけで、子どもは安心して話せるんです。
🔴「聞く」は、なにもしないことじゃない
「そうなんだね」と言うだけって、簡単そうでむずかしい。
つい、理由を訊きたくなるし、励ましたくなるし、正したくなる。
でも、「聞く」は、子どもの気持ちをそのまま受け止めること。
それは、なにもしないことじゃなくて、“関係を育てる行動”なんだと思います。
🟠おわりに
「聞く」は、3つのきくの最初のステップ。
次回は、「訊く」について。問いかけが、子どもの気持ちを引き出す力になることを、お話しします。
子育てコーチング協会インストラクターのさとさんでした。

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