思い起こせば
あなたの小さな手を握り
二人で初めて保育園の門を
くぐったのは
3年前の3月12日
震災の翌日だったね
震災の夜はお迎えに
行くことができす
翌朝、当時通っていた保育室で
あなたと無事再会して
パパがまだ戻らない家に
二人だけで帰宅
そしてすぐに
4月から入園する
今の保育園の説明会に
行ったのよね
まだ前日の恐怖が生々しく
不安と緊張の面持ちで
あなたの手をギュッと握って
ホールに入っていったママを
先生方がにこやかに
迎えてくださったのを
今でも忘れない
4月から必要になる
お昼寝用シーツや
ランチョマット
靴袋やリズム服入れ
そんな入園に必要な
あれこれの説明を
聞いていたら
まるで昨日の地震は
夢だったように感じたわ
それから入園までの半月は
計画停電や放射能
物不足への不安に怯えながら
年度末の仕事の忙しさと
入園準備、そして何よりも
こだわりと癇癪がひどかった
あなたとの生活に心身ともに
ギリギリの状態だったママ
よく二人して泣いたわね
あのときは、まだ
マインドブロックバスターも
絵本セラピーも知らず
自分の気持ちをなだめる術が
ママにはなかったの
4月に入って
今の保育園に入園
案の定、毎朝別れ際は
パニックを起こし
2階のベランダを
「ママ~、ママ~」と
金切り声をあげながら
走って追いかけてくるあなた
そんな声から一秒でも
早く逃れたいがために
ママ、振り返りもせず
駅に向かって走っていった
あの頃は会社にいるときが
一番幸せだったわ
どんなに仕事が忙しくても
あなたといるよりは
ずっとずっと楽だった
残業する同僚たちが
羨ましくて仕方がなかった
金曜日になるといつも
憂鬱になった
連休は恨めしくて
会社に行ける日を
指折り数えた
そしてなによりも
わたしを苦しめる
あなたのことが
大嫌いだった
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3年後の3月22日
担任の先生からの
「お母さん、今まで
よく頑張ってこられましたね」
という言葉に
3年間の想いがいっきに溶けだし
涙がぽろぽろぽろぽろ
ぬぐっても、ぬぐっても
涙がぽろぽろぽろぽろ
あんなにこだわりが
強かったあなたが
今は「まあ、いいか」って
言うようになった
言うようになった
あんなに癇癪ばかり
起こしていたあなたが
忙しさが続くとつい癇癪を
起こしてしまうわたしに
「Uくんが
なにかおてつだい
してあげようか? 」って
言ってくれるようになった
ねえねえ、知ってる?
こんな言葉があることを
「明けない夜はない」
ママは今日ほど
その言葉を強く
感じたことはないわ
子供の成長は
神様からのギフト
毎日必死で休みなく
頑張り続けている
母親へのギフト
卒園式は
そんなギフトを
次から次へと
思い出させてくれる
母親のための会
ママは今日
ママは今日
そんな風に思ったわ
名前を呼ばれて
二人で花道に立ち
将来の夢を語るとき
Uくん あなた緊張して
なかなか声を
出せなかったわよね
でも、数秒後
意を決したかのように
意を決したかのように
ごくりと唾を飲み込むと
大きな声でこう言った
「ぼくはおおきくなったら
かいしゃで はたらくひとに
なりたいです!」
それを聞いて
またママの目から
涙がぽろぽろぽろぽろ
最近のあなたは
パパが大好きで
将来パパみたいに
なりたいんだものね
ほんとに今日
どれくらいママが
涙を流したか知ってる?
「目やにを拭いてた
だけじゃん」って
あなたは言うけれど
マスカラが落ちて
真っ黒にならないように
必死で涙を拭きとっていたのよ
ねえねえ、知ってる?
あなたが成長したのと同じくらい
ママもこの3年間で
すごく変わったことを・・・
以前のように自分を
責めなくなったし
以前のように一人で
頑張ることもやめた
ダメな自分も随分と
受け入れられようになったし
そんな自分のことも
好きになれるようになった
でも何より嬉しい変化は
大嫌いだったあなたに
あなたの目を見て
心からこう言える
ようになったこと
Uくん 大好きママはあなたが大好きよ

そして、卒園おめでとう・・・・
~ あなたのことが大嫌いだったママより~
