野人 スェーデンのシルビア王妃をエスコートする | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

何年前かは忘れてしまったが、スェーデンのシルビア王妃が来日、鳥羽国際ホテルに宿泊した。


当時、野人は豪華クルーザーの船長をしていた。

普通の遊覧船はたくさんあったが、国賓をもてなせるような船はこの船しかなかった。

当時のヤマハが技術の粋を集めた特殊艇で、所有はヤマハ社長だった。


「連載、東シナ海流」でも紹介したが、進水して間もなく諏訪瀬島で嵐から危機を救った因縁の船だ。船名も「諏訪瀬丸」と言う。

当時はまさかこの船の船長になって屋久島から鳥羽まで回航して来るとは夢にも思わなかった。


それまでも色んな国賓や皇室、財界人、芸能人は乗せていたが、シルビア王妃をクルージングへ案内した時は仰々しかった。

供の者にSP、後から巡視船はくっついて来るし、空からヘリコプターまで追って来る。


操船しながら王妃に色んな案内をした。

英語は下手くそだったが、ややこしい話は通訳がついている。

クルージングが終わり、御木本真珠島に到着する前に共の者から白い手袋を渡された。

この手袋をして、先に下りて王女の手を引いて下船させて欲しいと言うのだ。


真珠島の桟橋にはたくさんの報道陣のカメラが待ち構えていた。

白い手袋をして王女の手を引いて下船させると、微笑みながらお礼を言われた。

王女は本当に綺麗で優しい人だった。下手な英語で・・そう伝えた。


九州の実家ではそんなことは知らず、母は近所のオバちゃん達二人とおせんべ食べながらテレビにかじりついていた。

王女の下船場面が画面に映ると、「シルビア王妃って本当に綺麗ねえ~!」と、うっとりと見とれていたらしい。

一人が、「あら! あれ・・お宅のたかしちゃんと違う?」と言い出した。

3人がテレビにかぶりついて見て


「ドッヘ~~!」叫び となったのだ。


母は


「何で・・たかしが王妃様の手を引いて・・喋ってるのよ~ビックリマーク」


・・と絶句したらしい。


母には「魚釣りが仕事」としか言っていなかった。

それからは「美女と野獣よね~!」とか

「どして!」とか、言いたい放題だった。

母から電話があり「出るなら出ると言いなさいよ」とまるでお化けみたいに叱られたが、そんなことはバカバカしくて一度も言ったことがない。


母は以前も、「ズームイン朝」をつけて朝ごはんの支度をしていたら背後から聞きなれた声がして、振り向いたら野人がアップで「モーテル」の話をしていたのだ。

それで腰を抜かすくらいびっくりしたらしい。

「全国放送で、朝っぱらからモーテルの話して、恥ずかしくて近所に顔向け出来ない」と叱られた。

その時は5分くらい喋ったのだが、最初から聞けば納得するのだ。


ヨットの解釈が日本と外国では違うという話で、日本人は帆走艇をヨット、動力船をボートと決め付けているが、ヨットとは本来「快走艇」のことで、大型ボートもヨットと言うのだ。

あちらでは普通のモーテルも、日本に来ると怪しげな解釈になるのと同じ事、例をあげてそんな話をしていた。


まあいずれにせよ母が画面で野人を見るときはタイミングが悪い・・・・